「この先どうしよう」が頭をもたげる50代の憂鬱
◆自分の仕事人生を見直す~定年後の人生をどう生きるか
「人間五十年 下天(げてん)の内をくらぶれば 夢幻(ゆめまぼろし)のごとくなり。一度生(ひとたびしょう)を得て滅せぬ者のあるべきか」
おなじみの織田信長が好んだ幸若舞(こうわかまい)(曲舞《くせまい》)「敦盛(あつもり)」の一節です。人間の命の儚を謡ったといわれています。もしかしたら、信長のことですから、たった50年の短い人生だからこそ命をかけて思いきってやる!と思ったのかもしれません。
いまの世の戦士であるビジネスパーソンの50代の多くは、まさに信長と同じように、これまで命がけでがんばり、多くの経験を積み上げ、現在、実力を発揮しているのではないでしょうか。
ただ、金融パーソンにとっては、この50歳はその後の会社員人生を決める岐路(きろ)だと聞きます。その後の定年までをいわゆる選ばれたキャリアルートを進むのか、あるいは関係先への出向というような道を辿るのかの分かれ目なのでしょうか。
しかし、一般的には50代も後半に入りますと、ほとんどの会社員は「定年」という言葉がチラチラと頭をよぎるようです(〝ようです〞という、あいまいな表現をせざるを得ないのは、私自身が定年という制度を経験したことがないからで、知人や友人から聞いた知識に過ぎないからです)。
やがて、定年後には「これまで一生懸命がんばってきた自分に対するご褒美」の意味を含めて、ゆったりとしたマイペースな人生を送れるようになることを頭の中に描く方もいるのではないでしょうか。多くのビジネスパーソンが通るこのような年代を、青年時代ならぬ「定年時代」と呼んでみたいと思います。