育毛剤に失望。「貼るカツラ」を取り寄せてみるも…
その後は一般の会社員に転職しました。毎日、鏡の中の薄毛の自分を見つめなければならない仕事ではなくなりましたが、今度はまた別の厳しい日々が始まりました。ものすごく忙しい業務に就いたため、心身ともに疲弊し、しかもストレスも大。そのためか薄毛がまたさらに進行してしまったのです。
さすがに「これはまずい!」と思い、私はついに初めての薄毛対策に乗り出しました。まず、当時発売されていた育毛剤はほぼ全て入手し、試してみました。でも、まったく効果はありません。考えてみれば、生まれつき剃り込みが入ったように毛が生えていない額には毛根がないのですから、毛が生えるはずもなかったのです。
育毛剤に失望した私は、次に、“貼りつけるカツラ”というものを取り寄せてみました。人工毛を植えつけた半透明の皮膜を、特殊な吸着剤を使って頭の地肌に貼りつけるわけです。強く引っ張ってもはがれず、シャンプーもブラッシングも、ヘアカットも自由自在との謳い文句でした。
でも結局、私は自宅に届いた“貼るカツラ”を使うことはありませんでした。取り寄せてはみたものの、所詮自分の髪の毛ではないものをつけることが、余計にコンプレックスになると思ったからです。
私の考えとしては、「一回したら、それで終わりにできるものにしたい」「それも自分自身の髪の毛で解決したい」、そして「メンテナンスの楽なものにしたい」。だから、カツラなどは選択肢になかったのです。