英国イングランド銀行のメッセージ

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今回の英中銀の金融政策決定会合(MPC)で注目したのはマイナス金利導入の意向、債券購入政策、ブレグジット(英国の欧州連合(EU)離脱)に対する英中銀の反応です。約7500億ポンドに増額された債券購入政策についての言及はありましたが、他の政策については限定的な指摘にとどまりました。

英国イングランド銀行:量的金融緩和を拡大、マイナス金利は議論せず

英国のイングランド銀行(英中央銀行)は2020年6月18日、金融政策決定会合(MPC)の結果を公表、市場予想通り政策金利を全会一致で0.1%で据え置きました。債券購入プログラムは1000億ポンド(約13兆4000億円)拡大すると発表しました。MPCは8対1で購入枠の増額を決めましたが、チーフエコノミストは購入枠の据え置きを主張しました。

 

なお、英中銀のベイリー総裁は、今回の金融政策会合ではマイナス金利を議論しなかったと明らかにしました。

どこに注目すべきか:マイナス金利、量的金融緩和、ブレグジット

今回の英中銀のMPCで注目したのはマイナス金利導入の意向、債券購入政策、ブレグジット(英国の欧州連合(EU)離脱)に対する英中銀の反応です。約7500億ポンドに増額された債券購入政策(図表1参照)についての言及はありましたが、他の政策については限定的な指摘にとどまりました。

 

まず、マイナス金利についてです。英中銀のベイリー現総裁の前任者であるカーニー前総裁は明確にマイナス金利を否定していました。3月に就任したベイリー現総裁となってから英中銀メンバーの間でマイナス金利に関する声が聞かれています。たとえば、チーフエコノミスト、アンディ氏は、5月末にマイナス金利の影響を調査と述べています。

 

もっとも、調査と実施は別問題と説明しています。そのマイナス金利について、少なくとも、議事要旨には検討した様子は見られません。新型コロナへの対応で流動性供給が最も重要なこの時期に、流動性を供給する上で重要な役割を負う銀行への副作用が懸念されるマイナス金利は、当面選択肢としても検討されない、ということなのかもしれません。

 

次に、1000億ポンド増額された債券購入による量的金融緩和ですがやや積極性にかける内容でした。購入枠の増額は市場予想通りながら、英中銀は年末までに購入を修了させる見込みと述べています。現在のペースで購入を続ければ、今夏の終わりには購入枠を使い切る恐れがあったことから増額は想定通りながら、年末を目処にするということからは購入のペースダウンが想定されます。英国経済が最悪期を脱したとの見方もあるようです。

 

一方、ベイリー総裁は22日に出口戦略として、バランスシートを縮小させてから利上げをすべきという将来の構想を述べています。その背景の一つに、不明確ながら過大な債券購入への懸念を示唆しています。この点は本心の確認が必要で、今後の注目材料です。

 

最後に英国のEU離脱関連については限定的です。英国が今年年末迄の「移行期間」を延長しない意向をEUに伝えたという事実と、リスク要因になりうることが淡々と、手短に述べられています。ブレグジットは政治問題であり、中央銀行は今の段階では様子見が選択肢かもしれません。

 

ただ、為替市場も落ち着いています(図表2参照)。移行期間の延長なしは英国の政治的ポーズ(交渉の駆け引き)に過ぎないとの見方が背景かも知れませんが、実質的な期限(6月末)が近づいています。あまりにコロナのリスクが大きすぎて、他のリスクは軽視または無視される傾向がある点は、少々気がかりです。

 

出所:イングランド銀行のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]英イングランド銀行の量的金融緩和目標額の推移 出所:イングランド銀行のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2019年6月24日~2020年6月22日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]英国ポンド(対ドル)の推移 日次、期間:2019年6月24日~2020年6月22日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『英国イングランド銀行のメッセージ』を参照)。

 

(2020年6月23日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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