2020年6月調査 日銀短観 予測

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

大企業・製造業・業況判断DIは▲38程度と09年6月以来の低水準を予測

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響による景況感の急速悪化が感じられる内容

 

大企業・非製造業・業況判断DIは▲15程度と11年6月以来のマイナス転落を予測

 

 

●6月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが▲38程度と3月調査の▲8から30ポイント程度悪化するとみた。リーマンショックの影響が大きく残っていた09年6月調査の▲48以来の低水準になろう。新型コロナウイルスの感染拡大予防のための緊急事態宣言は5月25日に全面的に解除されたが、経済活動縮小の悪影響で景況感が急激に悪化しよう。

 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは▲15程度とこちらは3月調査の+8のプラスから一気に2ケタのマイナスに転じるとみた。非製造業がマイナスになるのは11年6月調査の▲5以来で、リーマンショック後の09年12月調査の▲22以来の低水準になろう。

 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(6月調査)やロイター短観(6月調査)などを参考にした。

 

●6月15日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は6月1日から6月10日である。製造業DIは3月調査の▲5から33ポイント低下し▲38となった。また、非製造業DIは3月調査の+11から29ポイント低下の▲18となった。

 

 

●6月17日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は6月2日から6月12日である。6月調査400社ベースの製造業DIは3月調査の▲20から26ポイント悪化し▲46となった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の▲25から30ポイント悪化し▲55となった。

 

●また、ロイター短観6月調査400社ベースの非製造業DIは3月調査の▲10から22ポイント低下の▲32となった。また、200社ベースの非製造業の業況判断DIは3月調査の▲15から18ポイント低下の▲33となった。

 

 

●なお、6月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り▲38程度なら、3月調査の「先行き見通し」▲11を27ポイント下回ることになる。事前の予想を大幅に下回り、思ったよりは景況感が相当下振れたことになる。また大企業・非製造業が予測通り▲15程度なら、3月調査の「先行き見通し」▲1を14ポイント下回る。非製造業でも前回調査時の先行き予想を大幅に下回ったということになろう。

 

●QUICK短観6月調査の製造業の9月までの「先行き見通し」は▲36で6月実績の▲38より2ポイント改善の予想、非製造業の9月までの「先行き見通し」は▲12で6月実績の▲18から6ポイントの改善予想である。

 

●一方、ロイター短観6月調査の9月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで▲35と6月実績の▲46から11ポイント改善の見込み、製造業・200社ベースで▲46と6月実績の▲55から9ポイント改善の見込み、非製造業・400社ベースの9月までの「先行き見通し」は▲29と、6月実績の▲32から3ポイント改善の見込み、非製造業・200社ベースの9月までの「先行き見通し」は▲35と、こちらは6月実績の▲33から2ポイント悪化予想である。

 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で6月実績比7ポイント改善の▲31程度、非製造業は6月実績比3ポイントの改善の▲12程度と予測した。

 

●6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲45程度と3月調査の▲15から30ポイント程度悪化すると予測した。09年9月調査の▲52以来の低水準になろう。非製造業は3月調査の▲1から25ポイント程度悪化し▲27程度になるとみた。10年3月調査の▲31以来の低水準になろう。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が2月調査34.0、3月調査24.3、4月調査17.5、5月調査15.8と景気判断分岐点の50をかなり下回る水準での悪化が続いている。一方、非製造業は2月調査33.2、3月調査21.6、4月調査11.4、5月調査15.3となっている。景気ウォッチャー調査の動きからは、弱い製造業に比べ非製造業の相対的な底堅さが感じられる。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

 

●日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲45程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」の▲29より16ポイント悪かったことになる。事前の見通しに比べかなり悪化したことになろう。また中小企業・非製造業が▲27程度と予測通りなら、3月調査の通常時でもかなり弱めになりやすい「先行き見通し」の▲19を8ポイント下回ったことになる。こちらも景況感が事前に思ったよりかなり悪化したことになろう。

 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、製造業で6月実績比4ポイント改善の▲41程度、非製造業は6月実績比2ポイント悪化の▲29程度と予測した。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセも考慮した。

 

●2020年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+1.3%程度と予測した。3月調査の同+1.8%から増加率がやや鈍化すると予測した。他の統計の設備投資計画や、過去の修正パターンなどを参考にした。

 

●2020年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲17.0%程度と、3月調査の同▲11.8%から下方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があるが、今年度では6月調査は3月調査より悪化するとみた。リーマンショックの後の2009年度などは悪化していたことを参考にした。

 

<6月調査日銀短観・予測値>

 

1)大企業

 

6月製造業DI                                                              ▲38

6月非製造業DI                                                           ▲15

9月製造業DI                                                              ▲31

9月非製造業DI                                                           ▲12 

2020年度設備投資計画(全産業)前年度比                 +1.3%

 

2)中小企業

 

6月製造業DI                                                              ▲45

6月非製造業DI                                                           ▲27

9月製造業DI                                                              ▲41

9月非製造業DI                                                           ▲29

2020年度設備投資計画(全産業)前年度比                   ▲17.0%

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年6月調査 日銀短観 予測』を参照)。

 

(2020年6月17日)

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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