日本株は週末のメジャーSQに注目

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを週末に控え株価の変動幅は今週一時的に拡大か。

●SQ直前の日経平均の水準次第だが、デルタヘッジや裁定買いなどで上昇ペース加速の可能性も。

●ただ日経225先物のSQは日経平均の戻り高値となる傾向もありSQ後の株価動向が注目される。

先物とオプションの清算が重なるメジャーSQを週末に控え株価の変動幅は今週一時的に拡大か

6月物の株価指数先物とオプションは、6月12日に特別清算指数(SQ)の算出を迎えます。今回は先物とオプションの清算が重なる「メジャーSQ」となります。一般に、メジャーSQの週は、清算価格を巡る思惑的な売買が膨らみやすく、また、先物やオプションの取引主体が、SQ直前の限られた時間で取引判断を迫られるため、株価が一時的に大きく上昇(あるいは下落)することがあります。

 

この理由は次の通りです。たとえば、株価の上昇で、コールオプションの売り手に損失が発生した場合、この売り手は別途、先物を買い、先物の評価益でオプションの評価損を補填する「デルタヘッジ」を行うことがあります。これにより、先物価格が押し上げられ、裁定業者(主に証券会社)の「裁定買い取引」(先物を売って同時に現物を買う)につながれば、現物株の上昇が加速することもあります。

SQ直前の日経平均の水準次第だが、デルタヘッジや裁定買いなどで上昇ペース加速の可能性も

では実際に、日経225オプションの取引動向を確認してみます。6月物コールオプションは、23,000円と23,500円の行使価格で、建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)が相対的に大きく積み上がっていることが分かります(図表1)。そのため、たとえばSQの前日や前々日あたりで、日経平均株価が23,000円や23,500円を超えていると、上昇ペースが急加速する展開も想定されます。

 

これは前述の通り、デルタヘッジや裁定買い取引によるもので、日経平均株価が23,000円、23,500円を超えて上昇すれば、各行使価格のコールオプションの売り手には損失が発生するため、売り手のデルタヘッジ(先物買い)と裁定業者の裁定買い取引(先物売り+現物買い)により、日経平均株価が押し上げられるという仕組みです。また、今回は、先物の取引動向にも注意が必要です。

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    三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

    旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
    現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
    著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
    CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

    著者紹介

    連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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