複数の物件を持つメリット
初めて不動産投資をする人は、とりあえず物件を1つ購入しようと考えるのが普通でしょう。しかし、先にも述べたように、医師には一般の人とは違う優位な特権があります。医師という職業の信頼性で、金融機関から低い金利で高額の融資を受けられるのです。
たとえば、1億円の融資が受けられたとしましょう。区分のワンルームマンションならば、1戸2500万円の部屋を4戸買うことができます。
じつは、1戸よりも複数戸所有したほうが、不動産投資の効果が倍増するのです。なぜなら、 1 戸しか所有していない人はその物件を売却するか持ち続けるか、そのどちらかの選択しかできませんが、複数戸所有していると選択の幅が広がるからです。
仮に、物件を3戸持っているとしましょう。そうすると、1戸は生命保険用としてずっと持ち続ける、 1戸は売却用としてある時点で売却し、そのお金で残りの1戸を繰上返済すれば、以後年金代わりの家賃収入が全額得られる、というわけです。
医師は不動産投資の初期段階から複数戸購入できる融資を受けられるのに、そのことを知らない人が多いのでもったいないなと感じています。普通の会社員は不動産投資をやりたくてもできない人がいるのに、医師は自分たちが優遇されていることを知らないのです。
ただ、私は医師ならば最初から3戸持つべきだ、とすすめているわけではありません。3戸買いたいと思っても、不動産会社の事情によって1戸しか買えない場合があります。また、3戸買うにしても、同じエリアで3戸買うのか、それともエリアを分散して3戸買うのか、そのあとの投資状況が変わってきます。不動産投資にはそれだけ難しいところもある、ということです。
ですから、初めて不動産投資をする人は、まず1戸から始めて少しずつ増やしていくのがいいのかもしれません。その際、やはり信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。
パートナーとして選ぶ会社の条件
私は、販売をしてもらう会社、入居者を募集する会社、建物管理をしてくれる会社、売却専門の会社など、いくつもの不動産会社と関わっていました。ただ、それぞれの会社は、自分の専門のことしか相談に乗ってくれないし、専門以外のことには責任を負ってくれないことが多いのです。
たとえば、販売会社は物件を売ってしまえば、その物件に入居者が入っても入らなくても、その責任は負いません。ですから、物件を購入したオーナーは入居者募集の会社へ別途相談していくことになります。
入居者募集の会社は、入居者の手配はしてくれますが、入居者が部屋を破損したとしても、その修理をしてくれるわけではありません。このように、すべてが分業化されているとそれぞれに対応しなければならないので、大変な手間になりました。当時はフリーランスで、時間の余裕があったから何とかできたものの、いまでは難しいかもしれません。
しかし、それらの手間を省いてくれる不動産会社もあります。監修である植田さんが所属している会社もそうですが、不動産投資をしたいと思っている医師のために、物件の紹介から購入、建物管理、アフターフォロー、売却の出口戦略まで、すべてを1社でサポートしてくれる会社もあります。そこも含めて、相談相手を探すという気持ちで会社を選ぶといいと思います。
植田さんとの出会いは、たまたまインターネットで調べて、物件の売却の相談に行ったのがきっかけでした。私はそれまで医師専門の不動産会社があるとは知らなかったので、いろいろな話をしているうちに、この会社の不動産運営の構想に興味を抱きました。社員の方の対応が丁寧で、こちらの疑問にもきちんと答えていただき、信頼できるなと感じたので、それからは不動産運用のコンサルティングをお願いしています。
すると、あるときセミナーの講師をやってもらえないかといわれたのです。勤務医はなかなか人前に出たがらなくて講師をしてくれる医師がいらっしゃらないので、ということでした。私は勤務医ではなかったし、人前に出ることもおっくうではなかったので、引き受けることにしました。「医師としての資産設計」と題し、セミナーで私自身の不動産投資の経験と考え方をお話ししました。内容としては、これから不動産投資を始めようとする人に、会社選びの大切さを伝えるものです。私は自分の経験から、業者選びのポイントとして次のようなことをお話ししました。
(1)ワンストップサービスを行っているか
物件の購入から運営、建物管理、売却まで一気通貫で行ってくれる。問い合わせ・相談・回答・解決の窓口が一つになっていること。
(2)安心感があるか
入居者の募集や管理も行ってくれるので、医師としての本業に集中できる。家賃収入が安定していること。
(3)パートナーシップ、信頼関係を築けるか
投機的な運用ではないため、中長期的なおつき合いをすることになる。信頼関係が築け
る担当者、会社であること。
(4)幅広いコンサルティングをしてもらえるか
不動産はもちろん、幅広くお金に関する相談ができること。
不動産投資をこれから始めようという人は、これらの条件を備えた不動産業者を選ぶようにすればいいと思います。
大見貴秀
大見医院院長
植田幸
資産コンサルタント 宅地建物取引士 AFP(日本FP協会認定)