投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー

 

通貨ユーロは5月中頃から上昇傾向です(図表2参照)。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻であったイタリアやスペインの状況改善が大きな背景ですが、ユーロ圏の政策対応に前向きな変化が見られることも下支え要因と見られます。政策の持続性を占ううえで、今後のECB理事会が重要と考えていますがその背景を述べます。

欧州中央銀行:新型コロナウイルスで成長率が低下するなか、政策対応に注目

欧州中央銀行は2020年6月4日に政策理事会の結果を公表することが予定されています。この理事会に伴い、ECBスタッフによる景気と物価の見通しも公表される予定です。新型コロナウイルスへの対策として導入された経済活動の制限によるユーロ圏景気への影響が示される予定です。

 

なお、マークイット・エコノミクスが6月1日に公表した5月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)の改定値は39.4と、速報39.5とほぼ変わらず、前月(33.4)を上回りました。なお、新たに発表されたスペイン(38.3;市場予想は37.8)やイタリア(45.4;市場予想は36.8)は水準は低いながら、共に市場予想は上回りました(図表1参照)。
 

月次、期間:2017年6月~2020年5月、スペイン、イタリアの5月は速報値 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ユーロ圏と主な加盟国の製造業PMIの推移 月次、期間:2017年6月~2020年5月、スペイン、イタリアの5月は速報値
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:ECBスタッフ予想、PEPP、キャピタルキー

通貨ユーロは5月中頃から上昇傾向です(図表2参照)。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻であったイタリアやスペインの状況改善が大きな背景ですが、ユーロ圏の政策対応に前向きな変化が見られることも下支え要因と見られます。政策の持続性を占ううえで、今後のECB理事会が重要と考えていますがその背景を述べます。

 

日次、期間:2019年6月3日~2020年6月1日、国債は10年国債 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ユーロ(対ドル)と、ドイツとイタリア国債利回りの推移 日次、期間:2019年6月3日~2020年6月1日、国債は10年国債
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

まず、ユーロ圏の政策を大枠で整理すると、財政政策としては短期と長期(来年以降)の2つの政策があります。現在の政策である短期政策は失業対策、中小企業融資、金融システムの安定確保の3本柱です(詳しくはヘッドライン『独仏共同の復興基金提案で1歩前進』を参照)。一方、来年の実施が期待されている財政政策は復興基金で、22日のレポートでは5000億ユーロと規模を紹介しましたが、5月23日に欧州連合(EU)が打ち出した規模は7500億ユーロに拡大されました。

 

次に、金融政策は融資と債券購入政策の拡大による流動性の供給が大きな柱となっています。金融政策を担当するECBは今週の政策理事会で経済見通しを公表する予定です。5月末にラガルドECB総裁の講演でコロナ感染のユーロ圏経済の影響について中程度から深刻なシナリオを想定すると述べています。またデギンドスECB副総裁は20年のユーロ圏経済成長率をマイナス8~12%と述べています。今週ECBは深刻な成長率予想を示すものと思われます。

 

一方、経済対策について復興基金は利用開始は早くて来年で、そのうえ財政拡大を懸念する国から反対の声もあり、規模縮小などが迫られる可能性もあります。したがって、ECBの金融政策と国債購入による財政支援が当面の「つなぎ」として以上に重要な役割を負うことが見込まれます。したがって今回、もしくは今後のECB理事会で債券購入額の拡大が検討される可能性も想定されます。

 

また、債券購入政策については、規模だけでなく投資制約の緩和も検討される可能性が考えられます。既に発行上限の制約は緩和されましたが、国別配分は拠出金(キャピタルキー)に応じた制限もあります。もっとも足元では購入について制限が緩和されています。さらにフランス中銀総裁はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)ではキャピタルキー制限不要とまで口にしており、ECBで検討されるかに注目しています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ECB政策理事会レビュー、何を見るべきか』を参照)。

 

(2020年6月2日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧