韓国、第2波もささやかれる中での金融政策

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韓国中銀の今回の利下げは市場予想通りです。一方、通貨ウォンの動向を見ると、年初から新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化、金融緩和観測などを背景に概ねウォン安傾向です。大幅な下落ではないものの、足元回復も見られる東南アジアの通貨に比べると、ウォンは比較的軟調な動きとも見られます。

韓国金融政策:政策金利引き下げを全会一致で決定、非伝統的政策を示唆

韓国の中央銀行にあたる韓国銀行は2020年5月28日、金融通貨委員会を開き政策金利を0.75%から0.25%引き下げて、過去最低の0.5%にすると発表しました(図表1参照)。

 

日次、期間:2019年5月29日~2020年5月29日(日本時間正午)  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]韓国の政策金利とウォン(対ドル)レートの推移 日次、期間:2019年5月29日~2020年5月29日(日本時間正午)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

また、韓国中銀の李柱烈総裁は28日、韓国経済について、今年の成長率予想を2月時点の予想のプラス2.1%から今回マイナス0.2%へ引き下げ、アジア金融危機以来のマイナス成長に陥るとの見通しを示しました。

 

さらに、この日の利下げで政策金利は実効下限制約に近づいたと指摘し、非伝統的な政策手段を通じた成長支援を検討していると明らかにしました。

どこに注目すべきか:ウォン、利下げ、非伝統的政策、行動自粛

韓国中銀の今回の利下げは市場予想通りです。一方、通貨ウォンの動向を見ると、年初から新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化、金融緩和観測などを背景に概ねウォン安傾向です。大幅な下落ではないものの、足元回復も見られる東南アジアの通貨に比べると、ウォンは比較的軟調な動きとも見られます。

 

ウォン安の要因は韓国中銀の金融緩和姿勢と見られます。前回の3月16日の利下げは緊急に金融通貨委員会を開催し0.5%と大幅な利下げを実施しました。最も2月27日の委員会で、コロナ感染拡大が懸念されていたものの、政策金利を据え置いたことに批判が強かったことへの対応と、韓国政府が感染拡大抑制に行動自粛を開始する時期(図表2参照)を見計らっての利下げと思われます。

 

出所:厚生省、在大韓民国日本大使館を参照しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]韓国の最近のコロナウイルスに関連する主な出来事 出所:厚生省、在大韓民国日本大使館を参照しピクテ投信投資顧問作成

 

なお、利下げ余地は限定的となりつつありますが、韓国中銀は恐らく債券購入を中心とした非伝統的な政策手段を実施する構えで、金融緩和姿勢を維持しています。

 

次に、韓国の景気回復の鈍さもウォンの足かせと思われます。韓国中銀は今年の成長率予想をマイナス0.2%に下方修正しました。輸出主導の経済構造を脱しきれない韓国にとり、外需頼みの苦しい展開が続きそうです。

 

また、足元ウォンは下落傾向となっている人民元との相関が高まっています。米中関係の悪化は韓国にも巡り巡って影響が及ぶ可能性が考えられます。

 

最後に、最近の気になる点として、コロナウイルスの感染再拡大の懸念があげられます。韓国のコロナによる死者数は300人以下と感染抑制に成功した国という評価があります。韓国では3月から行動自粛として経済活動を制限してきましたが、4月20日から段階的に緩和を進めてきました(図表2参照)。しかし、足元新規感染者が増加傾向で28日は79人、29日で58人が確認されました。外出自粛の目安50人を超えたこともあり、韓国では再び外出自粛が要請されています。

 

仮に感染再拡大、経済制限拡大となれば先の経済予想は想定が甘いということも懸念されるだけに今後の動向に注意が必要です。韓国に気の緩みがあったのかはわかりませんが、緊急事態制限が解除された日本も、他山の石として韓国の動きは見ておく必要がありそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『韓国、第2波もささやかれる中での金融政策』を参照)。

 

(2020年5月29日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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