投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

米ジョンズ・ホプキンス大によると、インドの新型コロナウイルス累計感染者数は26日現在で14万4,950人と8万人台の中国を上回り、アジアで最大となっています。都市封鎖もおおむね継続中で景気への深刻な影響が懸念されます。そうした中、インドは金融、財政政策を総動員で対応しています。ただ、今後の課題ながら政策の後始末には注意も必要と思われます。

インド準備銀行:緊急の金融政策決定会合を開催、政策金利を引き下げ

インド準備銀行(中央銀行)は2020年5月22日に、本来は6月5日に予定されていた金融政策決定会合を前倒しで開催し、政策金利を0.4%引き下げ、過去最低の4.00%とすると共に(図表1参照)、融資の返済猶予を公表しました。

 

なお、インド中銀のダス総裁は記者会見で20年度(20年4月~21年3月)のGDP(国内総生産)成長率はマイナスになるとの予測を示しました。またインフレ率については原油価格の下落がインフレ抑制要因で、年末までに4.0%を下回る水準まで減速するという見方を示しました(図表2参照)。

 

日次、期間:2018年6月6日~2020年5月25日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]インドの政策金利とルピー(対ドル)レートの推移 日次、期間:2018年6月6日~2020年5月25日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

月次、期間:2015年3月~2020年3月、GDPは四半期、前年同期比  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]インドCPI(前年同月比)とGDP成長率の推移 月次、期間:2015年3月~2020年3月、GDPは四半期、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

新規感染者数、都市封鎖、利下げ、返済猶予

米ジョンズ・ホプキンス大によると、インドの新型コロナウイルス累計感染者数は26日現在で14万4,950人と8万人台の中国を上回り、アジアで最大となっています。都市封鎖もおおむね継続中で景気への深刻な影響が懸念されます。そうした中、インドは金融、財政政策を総動員で対応しています。ただ、今後の課題ながら政策の後始末には注意も必要と思われます。

 

まず、インドの新型コロナウイルスに関連する動向を簡単に振り返ります。累積感染者に加え、新規感染者数も足元6,000人以上と増加傾向です。一部先進国や中国のような感染拡大の収束とは異なる局面です。インドは全国的な都市封鎖を、感染者数が600人程度であった3月25日に開始し、何度か解除が延期されたあと(図表1参照)、5月17日に全面解除が予定されていましたが、結局一部緩和された地域を除き都市部は5月末まで継続するとしています。

 

インドの経済指標を見ると、19年10-12月期GDP成長率は前年比4.7%ですが、5月末公表予定の1-3月期GDPは1.2%への低下が市場で予想されています。都市封鎖による景気悪化は4-6月期に本格化すると見られ、インド中銀が示唆したように、20年度のマイナス成長が懸念されます。

 

インフレ率はインド中銀の指摘どおり低下傾向です。消費者物価指数(CPI)を押し上げてきた天候不順による食料品価格は、既に下落に転じ、原油価格の下押しも期待されます。なお、5月12日に公表予定であった4月のCPIはデータ不十分として公表が見送られている点には注意が必要です。

 

このような経緯を踏まえ、インドでは、GDPの10%に相当する規模の経済対策(財政政策)が公表され、またインド中銀は緊急利下げなど景気支援の姿勢を示しました。問題点を端的に指摘すると、まずモディ首相が公表した財政政策には、政府とインド準備銀行(中央銀行)がすでに公表した措置を含んだ数字ながら、歳入減少で財政赤字拡大が懸念される内容に市場の失望も見られます。財政政策はコロナ対策の要だけに一段の工夫が求められそうです。

 

金融政策では利下げと共に、一部融資を対象に融資返済の猶予を認める期間が延長されました。これは本来なら不良債権(返済期限から90日)に分類されるべき返済の遅れた融資が「見逃される」という意味に他なりません。今は便利な政策ですが、どこかで帳尻を合わせる必要があるでしょう。


 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナウイルス感染拡大が続くインドの対応と懸念』を参照)。

 

(2020年5月26日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/19開催】相続税申告後、
約1割の人が「税務調査」を経験?!
調査の実態と“申告漏れ”を
指摘されないためのポイント

 

【11/19開催】スモールビジネスの
オーナー経営者・リモートワーカー・
フリーランス向け「海外移住+海外法人」の
活用でできる「最強の節税術」

 

【11/23開催】ABBA案件の
成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト
「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【11/24開催】事業譲渡「失敗」の法則
―M&A仲介会社に任せてはいけない理由

 

【11/28開催】地主の方必見!
相続税の「払い過ぎ」を
回避する不動産の評価術

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧