インドネシアに見るコロナ対応

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インドネシア中銀は4月に続き、5月の会合でも市場予想の利下げに反し据え置きを決定しました。ペリー総裁はオンラインの説明で、通貨ルピアと金融市場の安定を重視したため据え置きを決定したと説明しています。経済成長予想を断続的に引き下げる中の金融政策の「温存」は、財政政策との調和を意図した可能性が考えられます。

インドネシア中央銀行:市場予想に反し政策金利を4.5%で据え置き

インドネシア銀行(中央銀行)は2020年5月19日、大方の市場予想(0.25%の利下げ)に反し、政策金利を据え置くことを決定しました(図表1参照)。

 

インドネシア中銀は、政策金利である7日物リバースレポ金利を2月と3月の会合では利下げしましたが、4月は据え置きました。なお、5日に公表された1-3月期GDP(国内総生産)成長率は前年同期比で+2.97%と市場予想の+4.0%を下回りました(図表2参照)。
 

日次、期間:2019年5月20日~2020年5月19日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]インドネシアの政策金利とルピア(対ドル)の推移 日次、期間:2019年5月20日~2020年5月19日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

四半期、期間:2007年1-3月期~2020年1-3月期、前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]インドネシアのGDP(国内総生産)成長率の推移 四半期、期間:2007年1-3月期~2020年1-3月期、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:据置き、通貨安、PSBB、財政赤字、直接引受

インドネシア中銀は4月に続き、5月の会合でも市場予想の利下げに反し据え置きを決定しました。ペリー総裁はオンラインの説明で、通貨ルピアと金融市場の安定を重視したため据え置きを決定したと説明しています。経済成長予想を断続的に引き下げる中の金融政策の「温存」は、財政政策との調和を意図した可能性が考えられます。

 

まず、インドネシアの経済成長率を振り返ります。1-3月期のGDP成長率の不振は主に内需が軟調であったためです。背景の一つに、豪雨の影響が考えられます。また、外需では1-3月期の海外からの観光客が前年同期比で3割程度減少しており、新型コロナウイルスの影響も見られます。

 

次に、今後の成長率を占います。インドネシアで大規模な社会的制限(PSBB)が施行されたのは4月月初で、ジャカルタなどPSBBを発動したのは4月10日です。インドネシアではコロナ感染は比較的遅く始まりましたが、感染者は急速に伸び、足元で2万人に近づく勢いです。そのため、PSBBは当初の終了予定時期から5月後半まで延期されています。4-6月期のGDP成長率はさらなる低下、場合によってはマイナス成長も懸念されます。なお、インドネシア中銀は20年の成長率予想を当初の5.3%から2.3%へと引き下げています。

 

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ここで改めて据え置きの理由である為替と金融市場の安定を振り返ります。まず、為替の安定については利下げをした時期(2~3月)に大幅なルピア安が進行しています。コロナ感染の影響と重なった面が大きいとはいえ、通貨安はインフレ懸念、拡大が懸念される経常赤字、いまだ3割を超える海外からの資金調達への影響を懸念したものと思われます。

 

経済対策についてインドネシア政府は当面、財政政策を重視する方針と見られます。財政政策の方が支援が直接的な面もあるからで、インドネシアは3月末から財政赤字をGDPの3%以内に抑えるルールを時限的に緩和し、中央銀行が直接引き受けることも認めています。為替市場の反応を見ても4月以降はルピア高傾向です。インドネシア中銀としては自らが大胆に動くより、安定した市場で財政を支援する方が得策かもしれません。

 

なお、格付け会社は、財政拡大政策を受け見通しを引き下げたところもありますが、ムーディーズは時限的な拡大であるならマイナス要因とならない主旨の見解を表明しています。為替市場が安定するまで、景気対策として金融より、財政政策の比重を高める意向と思われます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インドネシアに見るコロナ対応』を参照)。

 

(2020年5月20日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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