インカム・リターンを追求する私募リートの運用戦略とは?

前回は、私募リートの投資対象となる不動産それぞれの特徴について説明しました。今回は、インカム・リターンの追求などを目的とする、私募リートの運用戦略について見ていきます。

運用戦略の中心は物件の売買益を目的とした「コア型

一般に不動産証券化商品は、運用戦略によって①コア型②コアプラス型③バリューアッド型④オポチュニスティック型の4つに分類されます。それぞれの運用戦略が意味するところは必ずしも一義的に明確ではありませんが、不動産証券化協会などの業界団体では以下のように定義しています。

 

①コア型

もっぱら不動産賃貸から生じるインカム・リターンの獲得を目的とする。キャピタル・リターン(物件の売買益)については、基本的に重視しない

 

②コアプラス型

コア型と同様、インカム・リターンの獲得を目的とするが、部分的にはキャピタル・リターンの獲得も目的とする

 

③バリューアッド型

インカム・リターンの獲得に加えて、割安に取得した不動産等について積極的に収益性を高める施策を行い、不動産価値を増加させることによりキャピタル・リターンの獲得も狙う

 

④オポチュニスティック型

市場動向予測に基づいた不動産の売買によって、キャピタル・リターンの獲得を目的とする

 

リスクのレベルは①コア型が最も低く、以下、②コアプラス型、③バリューアッド型の順に下がっていきます。そして、④オポチュニスティック型の運用が、最もリスクが高くなります。私募リートは、これまでの説明の通り、もっぱらインカム・リターンを追求することを目的とした商品設計となっていることから、基本的に①コア型の運用戦略をとることになります。

 

目標分配金利回りは4~5%のものが中心

投資家は、私募リートの運用の結果として得られた収益を「分配金」という形で受け取ることになります。分配金はNOI(Net Operating Income)から減価償却、金利支払等を控除した投資法人の純利益によって算定されます。

 

NOIとは、リートに組み入れられた不動産の賃料収入等の収益から管理運営費用を控除した純営業収益です。リートでは収益の90%を超える額を配当するなど一定の導管要件を満たせば、支払った分配金を損金算入することが認められ、投資法人に対する法人税が課されなくなります。

 

そこで、この導管性要件を満たすために、私募リートでは利益のほとんどが投資家に分配されることになります。その結果、一般的な上場企業の株式配当と比べれば、相対的に高い額の分配金を期待することができます。ちなみに、現在、運用されている各私募リートの目標分配金利回りはおおむね4~5%の範囲となっています。なお、私募リートの分配金は、株式配当と異なり所得税制上の配当控除は利用できません。また、源泉分離課税の対象になります。

 

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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センコー・アセットマネジメント株式会社 代表取締役

1961 年生まれ。東京大学経済学部卒業。1984 年株式会社日本長期信用銀行(現株式会社新生銀行)入行。国内外の金融機関及び物流会社に勤務後、2009 年にセンコー株式会社へ入社し、特命担当課長としてカザフスタンでのプロジェクトに参画。2014 年にセンコー・アセットマネジメント株式会社を立ち上げ、同社代表取締役に就任。センコー株式会社の私募REIT の組成と運用を手がける。

著者紹介

世界一わかりやすい私募REITの教科書

世界一わかりやすい私募REITの教科書

初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機関…

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