安定したリターンを得ながらリスク分散ができる「私募リート」の投資対象となる不動産は、遵法性を満たし、収益をあげるものが条件です。今回は、私募リートの投資対象となる不動産の特徴について見ていきます。

遵法性・収益性があればすべて私募リートの投資対象

遵法性を満たし、収益をあげることが可能であれば、基本的にはどのような不動産であっても私募リートの対象となりえます。

 

投資対象として考えられる不動産をタイプ別に分ければ、主なものとしては①住宅(マンション等)、②オフィス、③商業施設、④ホテル・旅館、⑤物流施設(倉庫等)があげられます。それぞれの特徴やメリットなどについて確認しておきましょう。

 

①住宅(マンション等)
景気が悪化しても家賃の急激な変動は生じにくく、相対的に安定した賃貸収入を確保することが可能です。一方で、景気が上向きになってもすぐには賃料を上げにくく、他のプロパティタイプに比べればリターンは低くなります。

 

②オフィス
好景気時には需要が増し高い賃料が見込めるので、大きなリターンが見込めます。反面、不況時には需要が大きく減少するリスクが高く、収益が景気の影響を非常に受けやすいといえます。

医療施設や介護施設等のヘルスケア施設も注目の不動産

③商業施設
都心商業地に立地する大型百貨店や専門店ビルのように小型テナントの多いタイプは景気による影響を受けやすく、オフィスと似通った収益の傾向をもつことになります。一方、郊外型の大型ショッピングセンターやロードサイド店舗は長期契約を結ぶことが多く、安定性が比較的確保されることになります。

 

④ホテル・旅館
増加する訪日外国人のインバウンド需要の急増を受け、現在、ホテル・旅館は稼働率や客単価が上昇を続けています。少なくとも、2020年の東京オリンピックまではこの流れが続くことが予想されており、当面は比較的、高収益を期待できると考えられています。

 

⑤物流施設(倉庫等)
オフィスと比べれば好不況の影響が小さく、契約している企業の入れ替わりも少ないことから収益の安定性が高いといわれています。

 

ほかには、現在、医療施設や介護施設等のヘルスケア施設も、私募リートの投資対象として大きな注目を集めているところです。

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

世界一わかりやすい私募REITの教科書

初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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