NYダウ、次の焦点は経済活動の再開か?

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NYダウは大規模な金融/財政政策に加えて、経済活動の一部再開などが好感されるかたちで、3月23日の年初来安値から反発基調となっている。しかし、経済活動の一部再開が見切り発車となる州が相次いでおり、新型コロナウイルスの感染が再び拡大するリスクが高まっている。

米国30州が経済活動再開へ動き出す

トランプ政権は経済活動再開に向けたガイドラインを公表している。過去14日間における新型コロナウイルス感染者数の減少やPCR検査等による陽性率の低下などを主な基準としているが、たとえば経済活動を今月から再開したテキサス(TX)州では新規感染者数が再び増加傾向にあるほか、ジョージア(GA)州でも陽性率が一般的な目安とされる10%を超えるなど、見切り発車で再開された州が多くなっている。トランプ政権のガイドラインに強制力はなく、経済活動再開を判断するのはあくまで州政府になる。そのため、特に共和党知事州では選挙戦を意識して経済が優先される傾向にある。前述したTX州とGA州はいずれも共和党所属の知事であり、それ以外でも経済活動再開へ動き出した大半の州が共和党知事州となっている。

 

ハーバード大では、経済活動を5月中に再開させるには1日当たり最低でも50万~60万件のPCR検査等が全米で必要だと試算している。しかし、過去14日間の平均検査数は24万件、陽性率は10%を上回っており、明らかにPCR検査が不足していることが分かる。このような状況ではいつ感染が拡大してもおかしくない。実際、ワシントン大の保健指標評価研究所(IHME)は、新型コロナウイルスによる8月までの米国の死者数をこれまで7万2,400人と予測していたが、今月4日に13万4,475人へ上方修正した。その原因として挙げられたのが時期尚早な経済活動再開に伴う移動の増加だ。

当面はニューヨーク州における経済活動の再開時期が注目材料だが…

当面はニューヨーク(NY)州がいつ経済活動を再開できるかが焦点になるだろう。しかし、仮にNY州で感染が収束し再開が実現できたとしても、早期に経済活動を再開させた別の州で感染が拡大すれば、人の移動よって再びNY州で感染が拡大してしまう可能性がある。中小企業の勤務時間の推移を見る限り、経済活動の再開は極めて緩慢なペースで進んでおり、米国経済は感染第二波に対して脆弱な状態にあると言える。NYダウのダウンサイド・リスクは今なお顕在だ。


 

紫:再開済み又は再開見込みの州、2020年5月7日時点  出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国経済活動再開状況(州別) :再開済みまたは再開見込みの州、2020年5月7日時点
出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2020年3月1日~5月7日 出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国新型コロナウイルス検査数と陽性率 日次、期間:2020年3月1日~5月7日
出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年3月2日~5月7日 ※勤務時間は5月5日まで、変化率は2020年1月時点との比較  出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]NYダウと勤務時間変化率(中小企業) 日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年3月2日~5月7日
※勤務時間は5月5日まで、変化率は2020年1月時点との比較
出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『NYダウ、次の焦点は経済活動の再開か? 』を参照)。

 

(2020年5月8日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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