投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

NYダウは大規模な金融/財政政策に加えて、経済活動の一部再開などが好感されるかたちで、3月23日の年初来安値から反発基調となっている。しかし、経済活動の一部再開が見切り発車となる州が相次いでおり、新型コロナウイルスの感染が再び拡大するリスクが高まっている。

米国30州が経済活動再開へ動き出す

トランプ政権は経済活動再開に向けたガイドラインを公表している。過去14日間における新型コロナウイルス感染者数の減少やPCR検査等による陽性率の低下などを主な基準としているが、たとえば経済活動を今月から再開したテキサス(TX)州では新規感染者数が再び増加傾向にあるほか、ジョージア(GA)州でも陽性率が一般的な目安とされる10%を超えるなど、見切り発車で再開された州が多くなっている。トランプ政権のガイドラインに強制力はなく、経済活動再開を判断するのはあくまで州政府になる。そのため、特に共和党知事州では選挙戦を意識して経済が優先される傾向にある。前述したTX州とGA州はいずれも共和党所属の知事であり、それ以外でも経済活動再開へ動き出した大半の州が共和党知事州となっている。

 

ハーバード大では、経済活動を5月中に再開させるには1日当たり最低でも50万~60万件のPCR検査等が全米で必要だと試算している。しかし、過去14日間の平均検査数は24万件、陽性率は10%を上回っており、明らかにPCR検査が不足していることが分かる。このような状況ではいつ感染が拡大してもおかしくない。実際、ワシントン大の保健指標評価研究所(IHME)は、新型コロナウイルスによる8月までの米国の死者数をこれまで7万2,400人と予測していたが、今月4日に13万4,475人へ上方修正した。その原因として挙げられたのが時期尚早な経済活動再開に伴う移動の増加だ。

当面はニューヨーク州における経済活動の再開時期が注目材料だが…

当面はニューヨーク(NY)州がいつ経済活動を再開できるかが焦点になるだろう。しかし、仮にNY州で感染が収束し再開が実現できたとしても、早期に経済活動を再開させた別の州で感染が拡大すれば、人の移動よって再びNY州で感染が拡大してしまう可能性がある。中小企業の勤務時間の推移を見る限り、経済活動の再開は極めて緩慢なペースで進んでおり、米国経済は感染第二波に対して脆弱な状態にあると言える。NYダウのダウンサイド・リスクは今なお顕在だ。


 

紫:再開済み又は再開見込みの州、2020年5月7日時点  出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国経済活動再開状況(州別) :再開済みまたは再開見込みの州、2020年5月7日時点
出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2020年3月1日~5月7日 出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国新型コロナウイルス検査数と陽性率 日次、期間:2020年3月1日~5月7日
出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年3月2日~5月7日 ※勤務時間は5月5日まで、変化率は2020年1月時点との比較  出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]NYダウと勤務時間変化率(中小企業) 日次、配当無し、単位:米ドル、期間:2020年3月2日~5月7日
※勤務時間は5月5日まで、変化率は2020年1月時点との比較
出所:各種資料、The COVID Tracking Project、Homebase、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『NYダウ、次の焦点は経済活動の再開か? 』を参照)。

 

(2020年5月8日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?

 

【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

 

【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

 

【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成

 

【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録