中国輸出、プラス転換も外需に頼れず

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

中国の4月の輸出は前年同月比でプラスに転じました。中国は新型コロナウイルスの感染拡大が早かった分、収束に向けた動きも見られ、生産活動も徐々に再開されていることがプラスに転じた背景と思われます。ただ、プラスに転じた内容には偏りがあり、本格的な貿易の回復には時間がかかると見ています。

中国貿易統計:4月の輸出が市場予想を上回り前年同月比で+3.5%

中国税関総署が2020年5月7日に発表した4月の貿易統計で輸出(ドルベース)は前年同月比3.5%増と、市場予想(マイナス11.0%)、前月(マイナス6.6%)を上回りました。一方、輸入はマイナス14.2%の減少と、市場予想(マイナス10%)、前月(マイナス1.0%)を下回りました。

 

中国の輸出先を年初来で見ると、東南アジア向けの輸出が比較的堅調な一方で(図表1参照)、日欧米並びに主要新興国向けの輸出は、新型コロナウイルス感染拡大で需要が軟調となっています。

 

月次、期間:2020年年初~2020年4月、前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国の主な地域への輸出動向(年初来) 月次、期間:2020年年初~2020年4月、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:中国貿易統計、織物製品、新規輸出受注

中国の4月の輸出は前年同月比でプラスに転じました。中国は新型コロナウイルスの感染拡大が早かった分、収束に向けた動きも見られ、生産活動も徐々に再開されていることがプラスに転じた背景と思われます。ただ、プラスに転じた内容には偏りがあり、本格的な貿易の回復には時間がかかると見ています。

 

まず、中国の輸出先の国・地域の状況を年初来で振り返ります。図表1の棒グラフが示すように、日米並びに主要新興国向けの年初来の輸出は、昨年の同時期に比べ軒並み低調です。何とか前年並みを確保していたのは東南アジア向けの輸出でした。

 

ただ、図表1の囲みの中に実額で示した日米向け4月単月の輸出額は米国が約321億ドル、日本が約136億ドルで、前年同月比では米国が2.2%にとどまる一方、日本は同33.0%と急上昇しています。他には台湾、ドイツ、オーストラリア向けの輸出も4月は大幅に上昇しています。反対にインドや南アフリカ、ブラジル等への中国からの輸出は4月に大幅減となっています。年初来からの輸出先は東南アジアが安定的な一方、4月は国・地域によりバラツキが見られました。

 

次に中国の4月の輸出において堅調であった商品を見ると、マスクを含む織物製品は146億ドルで、3月の89億ドルから急回復しています。また、医療機器も急増しました。一方で、アルミなど原材料が軟調なままと対照的な数字となったように4月は輸出品目にも好不調の偏りが見られました。

 

中国の輸向の今後を指標で占います。中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)の構成指数である新規輸出受注PMIは4月が33.5と、3月の46.4から急低下しました(図表2参照)。先行指標となっている新規輸出受注PMIの水準が低いことから中国の輸出の回復は鈍いことが想定されます。足元の水準の低さに加え指標の変動が大きいことも気がかりです。同じような傾向は世界貿易の先行きを占う上で参照される韓国の輸出にも見られます。4月が前年同月比マイナス26.9%へ低下したのは、世界的に都市封鎖など経済活動に制限が拡大したことの反映と見られます。制限緩和の動きが緩やかであれば外需回復は先の話で、当面は軟調と思われます。

 

中国の経済方針は22日からの全国人民代表大会(全人代=国会)を待つ必要がありますが、輸出など外需には頼れず、国内需要の刺激策が中心になると思われます。

 

月次、期間:2015年4月~2020年4月、韓国輸出は前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の新規輸出受注PMIと韓国輸出の推移 月次、期間:2015年4月~2020年4月、韓国輸出は前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国輸出、プラス転換も外需に頼れず』を参照)。

 

(2020年5月8日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

投資家ご本人が、自ら考え、選び、投資をするプロセスを徹底サポート!
幻冬舎グループのIFAによる
「資産運用」個別相談会

 

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・ヘッドライン

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧