投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

今回のFOMCでは、過半が現状維持を想定していたと思われます。3月から4月にかけて矢継ぎ早に政策を繰り出した結果、市場に落ち着きが戻りつつあることから一旦政策評価の様子見と見られます。もっとも、FRBのパウエル議長は会見で新型コロナウイルスとの戦いは長期戦とも述べており、今後も緊密な政策運営が求められそうです。

FOMC:おおむね市場予想通り大胆な政策の効果を様子見ながら戦いは長期戦

米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年4月29日(日本時間30日)に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を発表しました。市場予想通り政策金利はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0-0.25%で据え置きました。声明で、経済を支えるため、政策手段を活用し適切に行動するとした上で、新型コロナ感染拡大は中期的な経済負担となるとして、長い戦いであることを示唆しました。

 

なお、今後の金利の道筋に関するフォワードガイダンスについて、市場ではさらなる緩和的な表現が盛り込まれるなどの予想もありましたが、おおむね据え置かれました。

どこに注目すべきか:FOMC、新型コロナウイルス、融資、支出

今回のFOMCでは、過半が現状維持を想定していたと思われます。3月から4月にかけて矢継ぎ早に政策を繰り出した結果(図表参照)、市場に落ち着きが戻りつつあることから一旦政策評価の様子見と見られます。もっとも、FRBのパウエル議長は会見で新型コロナウイルスとの戦いは長期戦とも述べており、今後も緊密な政策運営が求められそうです。

 

週次、期間:2005年4月20日週~2020年4月22日週 出所:FRBのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表]FRBのバランスシートの規模の推移 週次、期間:2005年4月20日週~2020年4月22日週
出所:FRBのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

まず、3月から4月にかけての政策対応によりFRBのバランスシートがどの程度拡大したかを確認します。3月月初から約2.4兆ドル程度急拡大させた結果、足元の規模は6.57兆ドルとなっています。短期的な伸びとしては過去に例が見られない規模の拡大です。

 

次に、FOMCの声明や、パウエル議長の会見から、今後の政策動向を占います。最初に声明で、新型コロナウイルスは中期的な経済見通しに重大なリスクをもたらすとの分析を述べています。期間については、場合によっては数年に及ぶ支援や対応が必要とも考えられます。

 

ただ、支援や対応の内容は姿を変えることも想定されます。パウエル議長は、現在の政策の重点は市場安定化であることを示唆しています。また、当面(恐らく、短期的に)は市場の安定を重視する模様です。一部ながら非投資適格債(ジャンク債)にまで踏み込んだクレジット市場や不動産市場の下支えは、新型コロナウイルスの展開次第ながら、もう少し落ち着きを見ると思われます。

 

今回のパウエル議長の会見でポイントとなったのは、いつもは財政政策について言及が少ない同議長が今後の財政政策拡大への期待を述べたことと見ています。今後新型コロナとの戦いが現実には中期というより長期戦となる可能性が高い中、市場の安定に加えて、経済支援、需要の回復などが求められます。パウエル議長も会見で、失業率の増加を指摘する一方で、失業による社会的損失も強調しています。雇用市場の安定化がFRBの使命のひとつであることから、今後本腰を入れるのは経済対策にシフトすると見られます。しかし、パウエル議長はFRBの限界として、融資は出来ても、特定の産業に資金を援助するような支出はないと述べ、その支出が可能である政治、つまり財政政策の必要性を強調しました。

 

もっとも、FRBにとって可能な手段である融資も事実上無制限で、今後の対応は金融政策の負担が高まる展開も想定は出来ます。しかし、返済を前提とする融資と支出では「効果」に差があるように思われます。その意味で、3月後半からの市場の安定では、金融政策と財政政策の一体感が明確となってきたことも大きな要因と見ています。しかしながら、逆に将来、金融と財政に譲り合い(?)が見られたならば、再び不安定の芽となることも考えられます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『今回のFOMCに見る、将来の課題』を参照)。

 

(2020年4月30日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/19開催】相続税申告後、
約1割の人が「税務調査」を経験?!
調査の実態と“申告漏れ”を
指摘されないためのポイント

 

【11/19開催】スモールビジネスの
オーナー経営者・リモートワーカー・
フリーランス向け「海外移住+海外法人」の
活用でできる「最強の節税術」

 

【11/23開催】ABBA案件の
成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト
「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【11/24開催】事業譲渡「失敗」の法則
―M&A仲介会社に任せてはいけない理由

 

【11/28開催】地主の方必見!
相続税の「払い過ぎ」を
回避する不動産の評価術

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧