投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

今回のECBの決定を受け、株式市場では資産(債券)購入拡大の見送りに失望売りが見られた一方で、ユーロ圏国債市場ではおおむね利回りが低下しました。債券購入の拡大が株式市場の上昇要因という連想が働きやすいことから失望売りにつながったと思われます。ただ、政策全体を見渡すと工夫のあとも見られます。

ECB政策理事会:債券購入拡大は見送るも、長期性資金供給策で金融緩和を強化

欧州中央銀行(ECB)は2020年4月30日に政策理事会の結果を公表し、主要政策金利などについては市場予想通り据え置きました(図表1参照)。

 

一方で、銀行に長期資金を貸し付ける条件を緩和し、最低ではマイナス1%という超低金利で資金供給が可能となる政策を発表しました。今回の政策はECBがマイナス金利で銀行にお金を貸し出すため、金利負担は中央銀行側にかかることになります。なお、資産購入規模の拡大は見送りましたが、ECBのラガルド総裁は会見で、必要に応じてプログラムを拡大または延長する用意があると述べています。

 

週次、期間:2015年4月20日週~2020年4月22日週 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ECBの主要政策金利推移 週次、期間:2015年4月20日週~2020年4月22日週
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:ECB、TLTRO3、PELTRO、PEPP、OMT

今回のECBの決定を受け、株式市場では資産(債券)購入拡大の見送りに失望売りが見られた一方で、ユーロ圏国債市場ではおおむね利回りが低下しました。債券購入の拡大が株式市場の上昇要因という連想が働きやすいことから失望売りにつながったと思われます。ただ、政策全体を見渡すと工夫のあとも見られます。

 

今回注目した点は、長期的資金供給の拡充と、債券購入の方針が若干明確となったことです。まず、長期的資金供給の拡充については、ECBが銀行に長期資金を貸し出す「TLTRO3」の条件を緩和することにより、銀行の貸出促進が期待されることから、利下げのような効果が期待されます。具体的には、ECBはTLTRO3の適用金利をマイナス0.5%へと0.25%引き下げたほか、一定の条件を満たす銀行については、適用金利を預金ファシリティ金利マイナス0.5%つまり、現段階ではマイナス1%としています。

 

加えて、ECBはPELTRO(パンデミック緊急長期資金供給オペ)を導入しました。5月以降に7度のオペ(資金供給)の実施が予定されています。特色は、TLTRO3のような条件が無く利用できることです。適用金利は主要政策金利マイナス0.25%です。なお、マイナス金利政策について補足すると、預金ファシリティ金利は銀行がECBに預ける際の金利をマイナスとすることで、貸出を促進することを意図していますが、銀行がコストを負うため評価はされない面もあります。しかし今回の政策ではECBがマイナス金利(金利を払って)で銀行に貸すため資金供給を改善させる効果が期待されます。

 

次に、債券購入は購入額の増額等は見送られました。また、ユーロ圏で著しい信用悪化に見舞われた国の国債を無制限に買う制度であるOMTについて、ラガルド総裁は消極的でした(図表2参照)。反対に、現局面では新型コロナ感染対策で導入されたPEPPを主体とすることを明確にすると共に、場合によってはPEPPの期限(年末)の延長なども示唆しました。OMTは特定の国の支援という意味合いがある中、イタリアとスペイン(さらにはフランス)と多くの国が困難に直面する状況では慎重になる必要があったのかも知れません。または、常々申していることですが、ユーロ圏は財政政策との一体感にもう一歩、改善が必要な中、切り札として残したのかもしれません。

 

※APPは資産購入プログラム、PEPPはパンデミック緊急購入プログラム ※OMTはユーロ圏で信用不安に見舞われた国の国債を無制限に購入 出所:ECB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ECBの主な債券購入プログラム ※APPは資産購入プログラム、PEPPはパンデミック緊急購入プログラム
※OMTはユーロ圏で信用不安に見舞われた国の国債を無制限に購入
出所:ECB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ECBの決定に市場の不満も見られますが』を参照)。

 

(2020年5月1日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/19開催】相続税申告後、
約1割の人が「税務調査」を経験?!
調査の実態と“申告漏れ”を
指摘されないためのポイント

 

【11/19開催】スモールビジネスの
オーナー経営者・リモートワーカー・
フリーランス向け「海外移住+海外法人」の
活用でできる「最強の節税術」

 

【11/23開催】ABBA案件の
成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト
「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【11/24開催】事業譲渡「失敗」の法則
―M&A仲介会社に任せてはいけない理由

 

【11/28開催】地主の方必見!
相続税の「払い過ぎ」を
回避する不動産の評価術

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧