前回は、暦年贈与を活用した自社株対策を説明しました。今回は、「ホールディングス化」によって自社株の高騰を抑える仕組みについて見ていきます。

純資産価額方式における株価の高騰を抑制

毎年利益を計上している会社は、年々自社株の評価額が高騰していきます。ホールディングス化によりこの高騰を抑えることが可能です。

 

取引相場のない株式の評価方法には、類似業種比準方式と純資産価額方式、その併用による方法があります。ホールディングス化はこのうち、純資産価額方式における株価の高騰を抑える効果があります。

 

純資産価額方式は、もし会社を清算する場合に株主に返す金額を、その会社の評価額とする評価方法です。

 

具体的には、会社の貸借対照表を相続税評価額に換算して、総資産から負債を差し引いた残りが会社の評価額となります。この場合、相続税評価額に換算したときに生じた評価差益の40%を、会社の評価額から差し引けるのです。

子会社の株価が高騰しても一定の控除が活用可能

なぜ、評価差益の40%を差し引くことができるのでしょうか。

 

実際に資産を処分して売却益が出れば、法人税等が課税されて現金で支払うこととなり、その分資産は減ります。同様に評価差益が出れば、法人税等相当額40%を控除することができるのです。

 

ホールディングス化すると、子会社の株式は親会社の貸借対照表に記載されます。ただ、このままでは何の効果もありません。子会社が年々利益を計上すれば、その株式の相続税評価額は年々高騰します。

 

しかしホールディングス化により、親会社の株価の計算において、子会社の株価の高騰した金額の40%が控除できるのです。結果、単独の会社よりも株価の高騰を抑えることが可能になります。

本連載は、2015年9月2日刊行の書籍『財を「残す」技術』 から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

財を「残す」技術

財を「残す」技術

齋藤 伸市

幻冬舎メディアコンサルティング

成功したオーナー経営者も、いずれは引退を考えなければいけない。そのときに課題になるのが、事業とお金をいかに残し、時代に受け継ぐかである。 保険代理店業を主軸として、オーナー社長の資産防衛と事業承継をコンサルティ…

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