前回は、オーナー経営者の影響力を維持しながら自社株を後継者に贈与することができる、種類株式について説明しました。今回は、種類株式よりも使い勝手がいい「属人的株式」について見ていきます。

登記簿謄本に記載する必要がない「俗人的株式」

前回紹介した種類株式のほかにも、ほとんど同じ機能を持った株式が存在します。属人的株式です。

 

種類株式は会社の登記簿謄本に記載されますので、それを見れば種類株式を活用していることは誰が見ても明らかです。一方で属人的株式は、登記をする必要がなく、登記簿を見ただけでは属人的株式を使っているかどうかはわかりません。

属人的株式の大きな特徴は「人につく」ということ

では、どこを見ればわかるのかといえば、定款に記されているのです。

 

しかし、外部に定款を見せることはほとんどありません。銀行にも定款を要求されることはないでしょう。ですから、周囲に知られることなく実行できるということで、種類株式よりも属人的株式のほうが使い勝手がいい場合もあります。

 

そして、属人的株式の大きな特徴は「人につく」ということです。たとえば、オーナー経営者の株式に拒否権を付けた場合でも、その株式を他の人が取得した場合には、拒否権はなくなります。

 

種類株式で拒否権を付けると、オーナー経営者から所有権が移った場合でも拒否権が付いたままですから、難しい問題が生じますが、属人的株式であれば、その人に限ってのものですから、使い勝手がよいといえます。

本連載は、2015年9月2日刊行の書籍『財を「残す」技術』 から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

財を「残す」技術

財を「残す」技術

齋藤 伸市

幻冬舎メディアコンサルティング

成功したオーナー経営者も、いずれは引退を考えなければいけない。そのときに課題になるのが、事業とお金をいかに残し、時代に受け継ぐかである。 保険代理店業を主軸として、オーナー社長の資産防衛と事業承継をコンサルティ…

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