ブラジルが直面する課題について

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ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数やレアル(対ドル)は、足元落ち着きが見えるものの、3月頃から大幅な下落傾向です。新型コロナウイルス感染拡大と、原油など資源価格の急落がブラジル株式等の下落要因であることは明確です。ただ、ブラジル株式等の下落は他の主要新興国に比べて大きくなっています。

ブラジル議会:新型コロナウイルス対策を本格化させるが、財政規律に不安

ブラジル議会は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い2020年3月20日に「公共災害宣言」を発令しました。これにより、基礎的な財政の収支を示すプライマリー収支について20年の目標が取り下げられました。また、ブラジル下院は4月3日に、いわゆる「戦時予算」と呼ばれている憲法改正案を2度の採決を通じて可決しました。最終的に法案となれば、新型コロナウイルス対策に必要な財政措置を連邦予算と切り離し、柔軟性が高まる見込みです。

 

なお、格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは4月6日にブラジルの格付け見通しを従来の強含み(ポジティブ)から安定的に下方修正しています。

どこに注目すべきか:戦時予算、累計感染者数、都市封鎖、保健相

ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数やレアル(対ドル)は、足元落ち着きが見えるものの、3月頃から大幅な下落傾向です(図表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大と、原油など資源価格の急落がブラジル株式等の下落要因であることは明確です。ただ、ブラジル株式等の下落は他の主要新興国に比べて大きくなっています。

 

まず、ブラジルの新型コロナウイルスの感染状況については、公表されている数字以上に悪いとの懸念があります。世界保健機関(WHO)によると、主な新興国の新型コロナウイルスの累計感染者数はピークを過ぎた中国が約8.4万人、イランの約7.2万人、トルコ約5.7万人に対し、ブラジルは約2万人(4月13日現在)となっています。ブラジルを筆頭に南米の感染が増加しています。さらにブラジルで懸念される点として実際の感染者は公表された数字より大きい可能性があることが指摘されています。百万人あたりの検査を受けた人の数を見ると、ブラジル(南米の国)は、米国やイランなどに比べても低いことがわかります(図表2参照)。

 

次に、感染対策を巡り、国内に激しい対立が見られることです。都市封鎖など経済活動の制限に反対するボルソナロ政権と、経済活動の制限を求める州政府、並びに閣僚(マンデッタ保健相)との対立が激しくなっています。そのため、ブラジルの感染抑制対策に遅れが生じること懸念されます。

 

政治の対立がブラジル財政懸念を悪化させる恐れもあります。ブラジルレアルが昨年など比較的落ち着いていた要因は、現政権の財政改革路線が議会でも支持されていたためです。新型コロナウイルス対策として、財政支出を拡大させることはどの国も行っています。ブラジルも、先の戦時予算や、公共災害宣言で債務残高対GDP(国内総生産)比率などが上昇(悪化)することは見込まれます。問われるのは、事態が落ち着いたら再び財政改革に戻る意向があるかです。マイナスの経済成長や資源価格の下落など明確な要因に加え、ブラジルが一枚岩でないことは今後の不安要因と見ています。

 

日次、期間:2019年4月14日~2020年4月13日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ブラジルレアル(対ドル)とボベスパ指数の推移 日次、期間:2019年4月14日~2020年4月13日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

時点:2020年4月7日、単位(100万人あたりの人数) 出所:ブルームバーグ、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]世界の主な国の人口百万人に対するコロナ感染検査 時点:2020年4月7日、単位(100万人あたりの人数)
出所:ブルームバーグ、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ブラジルが直面する課題について』を参照)。

 

(2020年4月14日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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