FRBの2.3兆ドル規模の支援策を検証

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FRBは最大2.3兆ドル規模の経済支援策を公表、一部のハイイールド債などを投資対象に含めることとしました。ヘッドライン3月30日号で、ハイイールド債等へのサポートが今後想定されることを指摘しましたが、FRBは今回の公表前までの信用力の悪化に無関心ではいられなかったと思われます。ただ、今後は、選別という問題に注目しています。

FRB追加支援策:買い入れ対象を拡大、景気刺激策に投機的融資活動へ踏み込む

米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年4月9日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対応した経済支援策として、新たに最大2兆3,000億ドル(約250兆円)を供給する一連の追加措置を発表しました(図表1参照)。

 

今回のFRBの追加支援策には、当局が避けてきた高利回り債(ハイイールド債、またはジャンク債)やローン担保証券(CLO)、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の一部も投資対象に含まれています。

 

出所:FRB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]FRBが表明した2.3兆ドル支援の主な内容 出所:FRB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:2.3兆ドル、PPPLF、ハイイールド債、格付け

FRBは最大2.3兆ドル規模の経済支援策を公表、一部のハイイールド債などを投資対象に含めることとしました。ヘッドライン3月30日号で、ハイイールド債等へのサポートが今後想定されることを指摘しましたが、FRBは今回の公表前までの信用力の悪化に無関心ではいられなかったと思われます。ただ、今後は、選別という問題に注目しています。

 

まず、今回の経済支援の全体像を、9日のパウエルFRB議長の講演内容を基に振り返ります。FRBは、議会と財務省による資金的裏付けを背景に、貸付を前例のない規模まで運用していく方針と説明しています。その具体的な分野が図表1に示された中小企業の雇用維持、融資、社債市場などの安定、地方債等への投資対象の拡大です。

 

例えば、PPPLFは雇用維持に向けた融資で、現在の局面で強く求められています。パウエル議長は今回の経済対策におけるFRBの役割は必要とされる分野のモニタリングと選別であると述べ、前例にとらわれない姿勢を示しました。

 

FRBに、今後も政策を拡大させる余地が見られます。先に成立した景気対策法に盛り込まれた最大4,540億ドルの元手資金のうち、今回は4割程度を使ったに過ぎず、残りの約6割で今後必要となる分野への対応に使用することが想定されます。例えば、今回の経済対策の規模である2.3兆ドルは、元手に対しレバレッジした規模の合計となっています。

 

次に、今回注目された投資対象の拡大についてです。ハイイールド債などが一部含まれました(図表2参照)。市場はこれを好感し、ハイイールド債のスプレッド(国債利回りの上乗せ分)は経済対策公表後に縮小しました。

 

なお、全てのハイイールド債を投資対象としたわけではなく、3月22日(前回の経済対策公表の前日)に投資適格であった社債で、その後投資不適格(BB-以下の格付け)に格下げされたハイイールド債が対象となる模様です。また、ハイイールド債のレバレッジを低く抑えるなどの配慮も見られます。

 

条件つきながらハイイールド債、商業用不動産ローン、条件は不明ながら地方債まで投資対象とするFRBの姿勢から危機に対する本気モードが伝わります。ただ、今後直面するかもしれない選別の問題への対応に期待と注目をしています。

 

 出所:FRB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]今回の追加措置による主なポイント出所:FRB、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FRBの2.3兆ドル規模の支援策を検証』を参照)。

 

(2020年4月13日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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