2020年2月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

 

2月分の機械受注(除船電民需)は前月比+2.3%と2ヵ月連続の増加

1~3月期見通し前期比▲2.0%減少達成には、3月分前月比▲4.3%が必要

3ヵ月移動平均前月比は2ヵ月ぶりの減少、「足踏みがみられる」の判断継続

製造業の前月比は3ヵ月ぶり減少だが、非製造業(除船電民需)は3ヵ月ぶりに増加

 

 

●2月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+2.3%と2ヵ月連続の増加になった。3ヵ月移動平均は前月比▲2.6%で2ヵ月ぶりの減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲2.4%で3ヵ月連続の減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回1月分では大型案件は0件だった。今回2月分の大型案件は運輸業・郵便業の電子計算機等の1件だった。

 

●2月分製造業の前月比は▲1.7%と3ヵ月ぶりの減少だった。2月分の製造業では17業種中、6業種で増加し、減少は11業種だった。

 

●2月分非製造業(除船電民需)の前月比は+5.0%と3ヵ月ぶりの増加になった。1月分の電力業の大型案件は2件だったが、2月分の電力業の大型案件は火水力原動機の1件になった。電力業の前月比は▲30.8%の減少になった。そのため2月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲6.8%と3ヵ月連続の減少になった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回1月分では合計7件。内訳をみると、電力業2件(発電機2件)、官公需3件(防衛省2件〔船舶1件・航空機1件〕、その他官公需1件〔電子計算機等〕)、外需2件(電子計算機等2件)であった。今回2月分では合計5件。内訳をみると、前述の運輸業・郵便業の電子計算機等と電力業の火水力原動機の計2件の他は、運輸業・郵便業の船舶1件、外需2件(火水力原動機1件、航空機1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は2月分前月比▲2.7%と2ヵ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲1.7%と10ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は2月分で前月比+2.7%で3ヵ月連続の増加になった。前年同月比は▲10.2%と2ヵ月ぶりの減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年4月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。5月分・6月分・7月分に続き8月分でも「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断で据え置きとなった。9月分で下方修正され、18年10月分・11月分以来の「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断になった。

 

●その後10月分では前月比が4ヵ月連続減少かつ3ヵ月移動平均が2ヵ月連続減少したことなどから下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。11月分・12月分・20年1月分に続いて、今回2月分でも、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断は据え置きとなった。

 

 

●1~3月期の前期比実績は、見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの11年間でみると、見通しと比較して上振れ6回、下振れ5回であり、振れ方に癖があまりない四半期である。

 

●機械受注統計は1月調査で季節調整値の遡及改定が行われた。機械受注(除船電民需)1~3月期の見通しは前期比▲2.0%は、残りの3月分が▲4.3%なら達成できる。また、3月分が+1.6%なら、1~3月期は前期比0.0%になる。3月分が0.0%なら、1~3月期は前期比▲0.5%になる。但し、3月分は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で弱含みが懸念される。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きをみよう。19年12月には、設備投資関連・現状判断DIが48.2(回答したウォッチャー14人)と19年7月50.0以来の水準に戻った。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。グラフからは設備投資関連・現状判断DIの底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で20年2月の現状判断DIは34.6(同13人)へと急落した。

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、12月は40.3(同18人)、20年1月は35.4(同12人)、20年2月は36.1(同9人)と弱含んでいる。足元の先行き判断DIの弱さは新型コロナウイルスの影響によるところが大きそうだ。

 

●なお、3月25日から3月31日を調査期間とする3月調査は本日(4月8日)午後2時に公表される。3月調査から算出される設備投資関連・DIは、現状、先行きともに厳しい数字になれば、2月分が意外と底堅かった機械受注統計も、3月分では悪化すると予想する根拠のひとつになろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年2月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

2020年4月8日

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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