中央銀行、現金決済による感染リスクを否定

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新型コロナウイルスの感染拡大は、経済に深刻な影響を及ぼす公算が高まっています。世界的な感染拡大は経済成長率の低下だけでなく、他の分野にも影響が及ぶことが想定されます。今回は国際決済銀行(BIS)のレポートを紹介しながら、現金決済への影響を述べます。

国際決済銀行:中央銀行の中央銀行は現金による感染懸念を否定

新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で広がりを見せる中、国際決済銀行(BIS)が2020年4月3月にキャッシュ(貨幣やコイン)による決済が感染を拡大させるリスクがあるかについてレポートをホームページに掲載しました。

 

要点を先に述べると、新型コロナウイルスがキャッシュ決済を通じて感染する例は報告されていないし、そのリスクは極めて低いということです。ただし、人々の漫然とした不安が残ることから、キャッシュレスもしくは中央銀行デジタル通貨(CBDC)実現に向けた動きが注目されそうです。

どこに注目すべきか:新型コロナウイルス、現金、感染、CBDC

新型コロナウイルスの感染拡大は、経済に深刻な影響を及ぼす公算が高まっています。世界的な感染拡大は経済成長率の低下だけでなく、他の分野にも影響が及ぶことが想定されます。今回はBISのレポートを紹介しながら、現金決済への影響を述べます。

 

検索エンジン(グーグル)で、「Cash」と「ウイルス(Virus)」の組み合わせが検索された件数を見ると足元(20年3月末)急増しています(図表1参照)。新型コロナウイルスの感染経路が完全に明らかでない中、現金(貨幣やコイン)を通じた感染はあるのかという不安が、グラフに反映していると見られます。

 

検索件数は過去15年ほどを対象にしましたが、この期間には09年頃の豚インフルエンザ、12年以降の中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)、14年頃の西アフリカにおけるエボラ出血熱などの感染症がありましたが、現金からの感染に対する懸念はほとんど見られません。これに対し、今回の新型コロナウイルスの感染に対する懸念は別格となっています。

 

では、現金を通じた感染の懸念はあるのか?  BISのレポートでは、極めて低いとしています。レポートでは、コロナウイルスについて他の科学的調査を引用して、銅など貨幣に使われる素材に新型コロナウイルスが残存する時間が数時間なのに比べ、つり革や手すりなどに使われるプラスチックやステンレスの場合3日程度とはるかに長いことなどを強調しています。

 

各国中央銀行も対応に追われています(図表2参照)。英国やドイツは感染の可能性が低いことを説明する一方、中国などは現金を洗浄することで安心感を高めています。南アフリカでは人々の不安を逆手に、感染している現金を回収するという詐欺が横行したため、南ア中銀は不安を抑えにかかっています。人の悪意は感染よりもたちが悪いかもしれません。

 

将来的な対応策として、キャッシュレス決済を促進する動きも見られます。その選択肢として、中央銀行によるデジタル通貨への期待は新型コロナウイルスを通じて、世界中の中央銀行の間で、静かに、しかし着実に高まったと見ています。

 

月次、期間:2005年3月~2020年3月、ピーク時を100として指数化  ※検索は世界全体でcashとvirusの組み合わせの検索件数  出所:グーグル検索数のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]グーグル検索におけるキャッシュと感染の検索件数 月次、期間:2005年3月~2020年3月、ピーク時を100として指数化
※検索は世界全体でcashとvirusの組み合わせの検索件数
出所:グーグル検索数のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

出所:BIS、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]主な中央銀行の貨幣感染懸念への対応策 出所:BIS、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中央銀行、現金決済による感染リスクを否定』を参照)。

 

(2020年4月7日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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