世界大恐慌への備えは現物資産でカバーする
前回に引き続き、現在、想定できる範囲で有効なポートフォリオの例を見ていきます。
【シナリオ別ポートフォリオ事例 ⑤世界大恐慌シナリオ】
日本の経済危機や中国バブルの崩壊などで、再び世界経済が大恐慌状態になるシナリオです。世界大恐慌とは、経済活動が世界的な規模で一時的に凍結してしまうような状況のことを意味します。
世界中が保護貿易に走り、経済が急速に縮小していくうえに、金融システムそのものが崩壊するような状況です。国や地域によっても異なりますが、株式や債券といった有価証券類は、価値のないただの紙くず同然になってしまう可能性があります。そう考えると、やはり現金ポジションを大きく減らして、不動産や金といった「現物資産=モノ」の比率を大きくしていく選択肢がベストだと思います。具体的には次のとおりですが、そのときの状況によって、専門家の意見を参考に決断することになります。
● 現金・・・10%
● 不動産・・40%
● 金・・・・40%
● その他・・10%
大恐慌が起こるかどうかを予測するのは難しいところですが、これも毎年行うポートフォリオの資産構成の見直し時に、十分検証することが重要です。プロの意見を聞いて、少しでも可能性がある場合は、リスクヘッジのために何らかのアクションを起こす必要があるかもしれません。「資産防衛=リスク回避」という基本を忘れないことです。
【図表 世界大恐慌シナリオのポートフォリオ】
安定運用型ヘッジファンドを組み込むべき理由
様々な経済のシーンごとに、どんなポートフォリオで対応できるのか紹介しましたが、このなかで筆者が考える最強のポートフォリオは「一進一退シナリオ」でのポートフォリオです。このポートフォリオの資産構成にしておけば、それ以外のシナリオになったとしてもある程度のリスクヘッジが効くはずだと考えています。
安定運用型のヘッジファンドは、これまでも何度か紹介してきたように、相場の上げ下げに左右されることなく、収益を上げることができます。マーケット・ニュートラルのようなヘッジファンドは、上げ相場が続いたとしても、ロングオンリーには敵わないまでも、それなりの収益は期待できるはずです。
いずれにしても、ポートフォリオは定期的に見直す必要があります。見直しのときに重要なことは、2年から3年後の経済情勢を予測して、そのシナリオに対応できるポートフォリオを考えること。ハイパーインフレや大恐慌はなかなか予想できないものの、経済危機には必ず何らかの「前兆」があります。前兆を見逃さずに、経済危機のシグナルに素早く反応することです。