投資経験がなければ「安定型」のヘッジファンドを利用
今回は、投資する人の属性別にポートフォリオの作成サンプルを紹介します。それぞれのケースを参考にしていただければと思います。
【事例1 富裕層、投資経験なしのケース】
プロフィール:50歳、会社経営者
年収:5000万~1億円
会社の年間利益:5億円程度
会社の時価総額:30億円
家族構成:妻、子2人
資産内容:現預金10億円、自宅都内マンション5億円(ローンなし)
投資経験:なし
会社経営者で、年収1億円、現預金で10億円保有している―そんな方の資産運用です。投資経験がないために、銀行に10億円がそっくり預けてある、といったイメージですが、安定運用型のヘッジファンドを中心に、米国不動産投資を組み合わせて、安定した運用を目指します。安定運用型ヘッジファンドには、1億円ずつ複数のファンドに投資することで、このカテゴリーの内部でも分散することを心がけます。
ちなみに、節税効果を狙って海外の保険を活用する方法もあります。様々な条件を満たす必要がありますが、たとえば会社で30億円の死亡保障が付いた「海外保険」をかけ、保険料10億円は一時払いします。
振込後に、8億~9億円をローンで借り入れ、それを安定運用型のヘッジファンドでドル建てのまま運用する。そうすることで、元手は実質的に1億~2億円で済み、満期になるまで8億~9億円をヘッジファンドで運用できます。ただし、元本割れのリスクが少ない安定運用型のヘッジファンドで運用することが大切になります。あくまでも、事業用としての海外保険ですが、リスクの少ない運用商品です。
【図表1 事例1のポートフォリオ】
投資経験が豊富なら「分散投資」でリスクヘッジ
【事例2 富裕層、投資歴10年のケース】
プロフィール:弁護士、医師、会計士など
年収:5000万~1億円
家族構成:妻、子2人
資産内容:現預金1億円、株式5億円、都内マンション(賃貸100万円/月)
投資経験:株式投資歴10年、大手証券との取引
弁護士や医師など、コンスタントに高い収入が継続する自営業の方のポートフォリオ・サンプルです。投資経験も豊富で、現預金に1億円、それ以外は株式に集中投資、もしくは株式を中心に運用する投資信託などに投資しているというケースです。
ここでは、6億円の資産のうち現預金はそのままにして、株式に投資している5億円を分散投資する方法を考えてみました。個人投資家が、株式投資で勝ち続けるのは非常に難しいため、基本的に株式は1億円に減額。もし、信用取引をやっていたら手仕舞うことをおすすめします。
また、株式投資も原則として、配当性向30%以上で配当利回りが3%程度と高いものにすることでリスク回避を図ります。さらに、低PBR銘柄に注目。もしくは食品や薬品などのディフェンシブ銘柄といわれる、経済の浮き沈みにあまり左右されない業種を選択します。
さらに、安定運用型のヘッジファンドで2億円。できれば、5000万円ずつを分散して複数のファンドに投資するのがベターです。事例1と同様に、高い収入があるため、その節税効果を狙ってノンリコースローンを使った米国不動産投資も活用します。2億円の投資資金を使って5億円程度の物件を運用します。
【図表2 事例2のポートフォリオ】