中国3月のPMI急回復には落とし穴も

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中国のPMIは先月、新型コロナウイルスの感染拡大の経済への深刻な影響を背景に急落しましたが、3月は市場予想を上回るペースでの改善となりました。中国の新規感染者数などの収束の兆候が反転につながったと思われます。しかし、操業の再開が遅れている地域も見られること、世界景気の回復が鈍いことなどから、中国の20年の経済成長は低水準が想定されます。

中国政府系購買担当者景気指数(PMI):3月は市場予想を上回る急回復

中国国家統計局が2020年3月31日に発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.0と、市場予想(44.8)、過去最低だった2月の35.7を大幅に上回りました。3月の非製造業PMIも52.3と、市場予想(42.0)、前月(29.6)を大幅に上回りました(図表1参照)。

 

月次、期間:2017年3月~2020年3月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国政府系PMI(製造業、非製造業、総合)の推移 月次、期間:2017年3月~2020年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

PMI指数が経済活動の拡大・縮小の節目となるのは50で、新型コロナウイルスの懸念が続く中、3月のPMI指数は形式的には中国経済再始動の可能性が示唆されました。

どこに注目すべきか:新型コロナウイルス、PMI、50、活動水準

中国のPMIは先月、新型コロナウイルスの感染拡大の経済への深刻な影響を背景に急落しましたが、3月は市場予想を上回るペースでの改善となりました。中国の新規感染者数などの収束の兆候が反転につながったと思われます。しかし、操業の再開が遅れている地域も見られること、世界景気の回復が鈍いことなどから、中国の20年の経済成長は低水準が想定されます。

 

中国の新型コロナウイルスの累計感染者数は世界保健機関(WHO)のデータによると8万2447人ですが、新規感染者数は106人と減少傾向です(3月30日状況レポート)。同日の日本の新規感染者数173人を下回っています。

 

このように新型コロナウイルスの影響に収束の兆しが見られる中、今回のPMIのポイントを振り返ります。

 

まず、主な構成項目を見ると、生産、先行きの動向を示唆する新規受注に改善が見られます。また、雇用も底堅い数字とはなっています(図表2参照)。

 

月次、期間:2020年2月(左)~2020年3月(右) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国製造業PMIの主な構成指数の推移 月次、期間:2020年2月(左)~2020年3月(右)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

一方輸出受注は相対的に回復が鈍いようです。中国の部品を心待ちにしているメーカーなども一部あるようですが、世界の景気減速はこれから本格化することが見込まれる中、海外からの需要の回復には時間がかかると見られます。

 

なお、PMIは通常50が拡大、縮小の節目とされています。しかし、PMIは調査ベースの指標で、基本、前の月に比べた景況感を回答していると見られるため、極端な変動の後のPMIの水準に注意が必要と見ています。

 

特に感染拡大のため経済活動を止めていた局面からの回復については経済活動水準も見る必要があるでしょう。ピクテでは、石炭使用料、交通混雑度合いなどにより日次ベースで中国の活動水準を計測していますが、経済活動は概ね8割程度、回復したと見られそうです。しかし、都市別に見ると、上海や北京などは、比較的回復している一方で、新型コロナウイルスの影響が大きかった武漢は、回復は極めて鈍いなど操業再開に地域的なばらつきもあります。本格的な回復には時間が必要と思われます。

 

今回の中国のPMIの回復を支えたのは主に活動を再開させた国内需要と見られます。ただ、PMI調査でも資金繰りへの不安が述べられるなど、当局の支援は今後も必要です。また、海外需要の減速はこれから本格化しそうで、輸出の回復にはさらに時間もかかりそうです。中国経済の底が1-3月期であったとしても、20年の成長率は2%程度と見ています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国3月のPMI急回復には落とし穴も』を参照)。

 

(2020年3月31日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

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