FRBドル供給政策を拡大

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米国の文章では一般に、最初に結論が述べられることが多いとよく言われますが、FIMAレポファシリティの声明では最後の段落が意味する、FRBが国際通貨ドルの役割を認識し流動性を供給するのが本音と見られます。特に恩恵を受けると思われる新興国は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い通貨安に見舞われており、対策は急務です。

FIMAレポファシリティ:FRB、海外の中央銀行に対するレポ取引を拡大

米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年3月31日、外国の中央銀行にドルの流動性を供給する暫定的なレポファシリティー(FIMAレポファシリティ)の開設を表明しました。

FIMAレポファシリティの参加行は一時的に米国債をドルに交換することが可能になり、公開市場での証券(米国債)売却に代わりドルの調達手段が提供されたことになります。

どこに注目すべきか:FIMAレポファシリティ、為替スワップ、新興国

米国の文章では一般に、最初に結論が述べられることが多いとよく言われますが、FIMAレポファシリティの声明では最後の段落が意味する、FRBが国際通貨ドルの役割を認識し流動性を供給するのが本音と見られます。特に恩恵を受けると思われる新興国は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い通貨安(図表1参照)に見舞われており、対策は急務です。

 

日次、期間:2019年4月1日~2020年3月31日、19年4月1日=100
[図表1]主な新興国通貨の対ドルレート(指数化)の推移 日次、期間:2019年4月1日~2020年3月31日、19年4月1日=100
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

最近のFRBによる国際的な流動性供給策を振り返ると、3月15日に、6つの国・地域(日米ユーロ圏、英国、カナダ、スイス)との間で為替スワップ取引により低利(OIS+0.25%)で米ドルの供給を受け取る仕組みが公表されました。

 

通貨スワップによるドル資金の供給で19日に新たに9ヵ国(オーストラリア、ブラジル、韓国など)と協定を結びました。

 

今回の暫定的なレポファシリティは海外中央銀行や国際機関向けにドル供給を目的に設置されたと見られます。大部分の海外の中央銀行はFRB(ニューヨーク連銀)に口座を持ち、しかもこの口座に米国債を保有しているケースも見られます。FIMAレポファシリティでは米国債を担保にドルをオーバーナイトで調達する仕組みですが、説明によるとロールオーバー(借り換え)も可能です。米国債を市場で売却することなくドルを短期的に手当てできる仕組みです。

 

米国のメリットは市場の安定化です。3月半ばごろ、米国国債市場は機能不全の兆候が見られました。景気が悪いから(ある程度)株価が下落するのは自然です。しかし、3月中頃までに米国金融市場で見られたスプレッドなどの拡大は放置できない水準であったことから、前倒し的に各種の緊急措置が打ち出されたと見ています。この効果は十分現れた面もあります。例えばドルの調達コストである(ドル円の)ベーシスコストは急速に正常化しています。

 

次に、米国以外でFIMAレポファシリティのメリットを受けるのは新興国が想定されます。貿易、債務返済など新興国のドル需要は根強く、ドルの調達先が増えた格好です。

 

新興国ではドル調達コストが上昇しています。ドル建て新興国債券と米国債の利回り格差(スプレッド)は新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響が深刻化するのに伴い急拡大しています(図表2参照)。悪化する一方であった新興国のドル調達コストの多少の支援とはなりそうです。

 

日次、期間:2019年4月1日~2020年3月31日、1bp=0.01%
[図表2]ドル建新興国債券スプレッドの推移 日次、期間:2019年4月1日~2020年3月31日、1bp=0.01%
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

現在の深刻な経済状況を一気に改善させる対策は見当たりません。企業の資金繰り、失業対策など様々な問題が山積だからです。そこで求められるのは問題を特定化し、対応を絞ると一方で、見逃した問題がないかにも市場は注目しています。新型コロナウイルスの感染拡大が市場に最も影響を与えている一方で、政策に対する評価も、市場の動向を左右することから、今後も注目を続ける必要があると見ています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FRBドル供給政策を拡大』を参照)。

 

(2020年4月1日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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