コロナでやはり弱かった2月の工作機械受注…反転の兆しは?

今後の景気見通しを占う、注目の経済統計が出ました。業界団体が発表した2月の工作機械受注統計は、新型コロナウイルスの影響でやはり弱いものとなりました。この状況がいつまで続くのか、反転には何が必要なのかを考えます。

2月の工作機械受注は30%減

金融マーケットの関係者が、景気見通しを探るデータの1つとして注目する経済統計が、3月10日に発表された。

 

日本工作機械工業会が発表する工作機械受注統計は、注目度の高いデータの1つ
日本工作機械工業会が発表する工作機械受注統計は、注目度の高いデータの1つ

 

日本工作機械工業会が発表した2月の国内工作機械メーカーにおける受注総額(速報値)は、前年同月比30.1%減の767億1400万円となった。17カ月連続で前年実績を下回っており、2013年1月の716億円以来、7年1カ月ぶりの低水準だった。

 

内訳をみると、外需が前年同月比34.2%減の447億円で、これは2010年1月以来の10年ぶりとなる低水準である。内需は同23.3%減の319億円。外需、内需とともに弱い状況と総括できる。

 

 

 

参考として、1月の工作機械受注総額をみると、808億円だった。前年同月比では36%減で、1月としては2013年以来7年ぶりの低水準。国内市場の補助金待ちや中国の春節など季節的な要因があったとの解説が新聞報道でみられたが、この数値にはまだ、新型コロナウイルスの影響はあまり出ていなかった。

 

今回、2月分のデータに初めて新型コロナの影響が織り込まれたのだが、やはり弱い数値だ。もともと、外部環境の悪化から悪い数値が予想されていただけに、サプライズ性はないが、反転上昇のタイミングが後ズレしたと、誰もが思わざるを得ない結果である。

受注の反転時期は下期以降に後ズレか

日本工作機械工業会では年初に、2020年の年間受注総額が2019年に比べて横ばいの1兆2,000億円程度になるという見通しを示していた。世界各地の景気後退や米中貿易摩擦の影響から設備投資は落ち込んでいるが、2020年前半のうちに受注が上向くというシナリオであった。

 

しかし、新型コロナウイルスの影響により、日本工作機械工業会の飯村幸生会長(東芝機械会長)は当初4~6月ごろとみていた受注の反転時期を、7~9月ごろとの見方に早くも修正したようだ。ブルームバーグが2月下旬に報じている。

 

この報道によると、東芝機械のケースでは、上海から他省の顧客先に出向いた際、1日の打ち合わせのために行き帰りでそれぞれ2週間の待機を余儀なくされ、1カ月かかったとされる。これでは仕事にならない。

 

中国国内の工場では現地当局による検疫が依然として行われており、一部操業停止の状態が続いている。工作機械業界に限らず、アパレル、食品など他の業界でも同様とされ、中国という「工場」が正常に動き始めない限り、先行きの不透明感はなかなか拭えそうにない。

「今は谷の底」で「ふだんよりも深めの底」

この統計データを見ると、反転上昇の兆しどころか、どんどん悪化しているように見えてしまうが、日本工作機械工業会に加盟する企業や、金融マーケットの関係者の中には、意外にも悲観論はあまりないというニュースをしばしば見かける。

 

それは、2018年後半から米国と中国との貿易摩擦が悪化し、2019年から2020年にかけては受注が弱いという見通しがもともとあったため、新型コロナウイルスの影響があってもなくても、足もとの受注は増えていなかったというもののようだ。米中の関係悪化に加えて、スマートフォン向け投資の一巡という要因もあるようだ。

 

工作機械業界がこのまましぼんでいくというはずはなく、受注は好調、不調、好調…と、サイクルを繰り返すものである。今は不調のタイミングであり、それが長引いているというだけであって、いずれ好調のタイミングがやってくるはずであり、今度はその好調の度合いが強くなるという見立てのようだ。

 

日本工作機械工業会の関係者はよく「山を登る」、「山を下る」という表現を使っているが、「山を下っていたら、谷が深かった」ということであろうか。すなわち、「今は谷の底」で、それも「ふだんよりも深めの底」との表現がよさそうである。

 

工作機械受注は1月よりもさらに悪化した
工作機械受注は1月よりもさらに悪化した

 

それでは、何が次の工作機械業界における受注を引っ張っていくのかと言えば、5G(第5世代移動通信システム)や、人手不足に伴う省人化・自動化あたりは、2019年に続いて底堅く推移しそうである。

 

また、これまでの「山を下る」から「山を登る」をけん引していったものを振り返ってみると「思いもつかないもの(技術など)」が急浮上しているケースが多い。今回もその可能性はあり、新型コロナを撲滅するとか、感染者に効くクスリが開発されるとかのような話が急浮上して、そのための投資が活発化し、これらが工作機械の次なるけん引役になることもあるかもしれない。

 

経済状況、マーケットの動向は常にウォッチすべきである。大荒れとなって、多くの人が「見たくもない!」と思うような状況でこそ、しっかり見ていくと、変化の兆しを察知できることが多いだろう。

 

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