黎明期の楽天…三木谷社長が社員に伝えた、「ビジネスの本質」

「送料無料化」「携帯電話事業への本格参入」など、ますます世間の注目を集めている楽天。「目標達成」を実現させている、楽天社員の行動習慣とはどんなものだろうか。楽天市場初期の主要メンバーとして、事業部長を歴任していた小林史生氏は、書籍『楽天で学んだ「絶対目標達成」7つの鉄則』(日本実業出版社)にて当時の経験を語っている。

三木谷社長の「0.1%の努力の話」が筆者を変えた

インターネット業界はとても変化が激しい業界です。栄枯盛衰とはまさにこのことで、様々なサービスが出ては消えていきます。名前は出しませんが、少し前まではよく使われていたサービスも、あっという間に新サービスに駆逐されて消えていったといった話は山のようにあります。そういう意味では、現状維持であっても、それは衰退を意味すると言っても過言ではありません。

 

この考えは、きっと人の能力開発にも当てはまると思います。三木谷社長の著書、『成功の法則92ヶ条』(幻冬舎)の中にもあり、楽天の全社員朝会でも何度もお聞きした話で、0.1%の努力の話があります。毎日0.1%でも昨日の自分より成長させることができると、1年間、365日経つと1.44倍も成長することができるという話です。

 

私はサービス同様に、人間の能力も何もしなければ、現状維持ではなくむしろ衰退すると考えています。つまり、毎日0.1%というわずかな違いでも昨日よりも退化していくとどうなるか。

 

計算してみるとそれが365日続いた場合は、何と0.69倍になります。1年間で3割以上の衰退をしてしまうのです。成長している人と退化している人とでは、この差は何と0.75もの差になってしまいます。

 

私が米国に駐在中に、三木谷社長がこの92ヶ条の法則の本を出版されました。ちょうどそのタイミングで彼が米国に立ち寄られたときに、しっかり経営の勉強をしなさいと、サイン入りの本をいただきました。

 

パラパラとめくったときに、最初に目についたのは、偶然にもこの0.1%の努力の話でした。ちなみにこれは、92カ条の10カ条目にあります。

 

私はこの「毎日ほんの少しでも自己成長のために努力をすれば、それは大きな力になる」という考え方がとても好きでした。当時、私は海外で初めての会社建て直しという大きなミッションで忙殺されている中、とくに英語の語彙力のなさを痛感していたものの、英語の勉強をしっかりとしていませんでした。まぁ何とかなる、と思っていたせいもあります。

 

そこで、この考え方を三木谷社長の本で学んでから、毎日15分、帰宅後、CNNのニュースを聞くと決めました。どんなに疲れて眠たいときも、英語耳を形成するために。この習慣は非常に苦しかったのですが1年以上続けました。そして、それが血となり、肉となり、自分の英語力の改善にとても役立ったと思います。この努力のおかげで、その後のMBA合格にもつながったと思います。

 

ちなみに、毎日1%の改善ができると1年間で38倍になります。逆に1%毎日退化すると、それは何と3%まで退化してしまいます。継続は力なりとはまさにその言葉通りで、学び続ける姿勢が、あらゆる目標を達成し続けるために最も重要なことなのです。

 

◆楽天で学んだ達成力+α

0.1%の努力と共に重要なのがLearning Curve(学びのスピード)を高めること。

三木谷社長「理論値通りにいかないのが、現実の世界」

ビジネス書などでよく言われていることは、「どれだけ考えても行動しないと意味がない」とか、「まずは行動しろ」といったスピードを意識した表現です。意図は、慎重になりすぎてアクションが取れない人は、あれこれ考えるよりもまず行動してみないと何も始まらないよ、というメッセージだと思います。 

 

私は格闘技が大好きなのですが、アントニオ猪木が引退セレモニーで話していた有名なフレーズ「道」の最後の一行の「迷わず行けよ、行けばわかるさ」というメッセージも、その一つだと思います。

 

楽天時代よく耳にした三木谷社長の言葉に、「考えるために行動しろ」があります。これは「まずは行動しろ」よりも一歩も二歩も進んでいる意味合いで、目標達成をする確率を格段に高めてくれます。

 

ビジネスは、思った通りにいくことはほとんどないのが現実で、いきなり行動して最高の結果が出るほど甘くありません。なので、最高の結果を出すためにまず行動するのではなく、行動し、返ってきた何らかの結果・反応を参考にして、次に精度の高いアクションを取るのです。そのため、最初のアクションはとても小さくてもよいわけです。

 

三木谷社長は、『成功の法則92ヶ条』の中でとてもうまい例で語られています。

 

「壁にボールをぶつけたら、どう跳ね返ってくるか。運動方程式を使って、その結果を計算することは可能だ。けれど、現実の壁には歪みもあれば凸凹もある。理論値通りにボールが返ってこないのが、現実の世界なのだ」

 

理論値通りにはボールは返ってこない
理論値通りにはボールは返ってこない

 

だからまずは、現実に試してみて、どうボールが返ってくるかのパターンをとらえる。それを踏まえて、次は自信を持って全力でぶつけるということです。

 

楽天では、面白いアイデアがあればまずは小さく試す文化があります。その昔は、社内でCUOSと呼んでいました。

 

略語なのですが、小さく(C)生んで(U)、大きく(O)育てる(S)と、今の楽天の英語化から見ると少しどうかな、とも感じられる略語ですが、その昔はよく使われていました。とくに楽天で大成功した様々なマーケティング施策は、この小さく試して大きく育てる、という発想のもとに進められました。

 

たとえば、楽天スーパーポイントの導入もスーパーセールもすべてそうです。最初は本当に小さく何度も何度も試していました。このCUOSの考え方があれば、結果として、様々なことを大きなダメージなく試すことができるし、最小限のリソースで最大の効果を出すことができます。

 

もう一つ、とても重要なことは、こうしたテストだからこそ、そのテストは徹底的にやるべきです。そうしないと、そのテスト結果が正しいかどうかわからないからです。 せっかくの実はものすごい可能性がある施策も、このテストを中途半端にやって結果が出ずにボツになるケースは本当によく見られます。

 

「考えるために行動する」という発想は、PDCAサイクルを速く回すことができるネット業界では当然の考えかと思います。が、20年前からこの考えを続けている楽天の企業風土はやはり素晴らしいです。

 

◆楽天で学んだ達成力+α

① 仮説をもって、

② 行動して、

③ 反応から学んで次のアクションに生かす。

このサイクルを早く、そして速く。

 

 

小林 史生

株式会社鎌倉新書 取締役執行役員

株式会社鎌倉新書 代表取締役
社長COO

1974年生まれ。関西学院大学卒。デューク大学経営大学院経営学修士(MBA)。

2000年に楽天に入社。楽天市場初期の主要メンバーとして複数の事業部長を歴任。2007年からは楽天の国際化を推進し、国際戦略部長としてアジア・欧米での事業開発を担当。その後、米国に計8年間駐在し、カリフォルニアでは買収先企業の社長に就任。国内外で数々の企業のV字回復実績を持つ。

現在は東証一部上場企業の鎌倉新書にて、シニア領域で圧倒的No.1サービス企業を目指すべく経営メンバーとして活躍。

著者紹介

連載楽天で学んだ「絶対目標達成」7つの鉄則

楽天で学んだ「絶対目標達成」7つの鉄則

楽天で学んだ「絶対目標達成」7つの鉄則

小林 史生

日本実業出版社

スピードを上げる、できる方法を考えぬく、楽天「ならでは」の行動習慣を初公開! 30代で楽天が買収した赤字の米国企業の社長を任され、見事に再建した著者が、現場で実践してきた考え方、行動の仕方、習慣を7つのポイント…

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