新型コロナウイルスで警戒すべき「トリプル・ショック」

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FRB(米国連邦準備制度理事会)は3月3日、2008年10月以来の緊急利下げを突如発表した。新型コロナウイルスが経済活動にもたらすリスクを鑑みての判断だったわけだが、これに対し同日の米国株式市場は大幅安となった。米国株式市場が緊急利下げに対して「売り」で反応したことで、今回のコロナショックの問題点が改めて浮き彫りになった。

なぜFRBの緊急利下げで米国株が急落したのか?

新型コロナウイルスの感染が拡大するまでは、FRBによる積極的な金融緩和等に支えられ米国株式市場は堅調に推移してきた。今回の緊急利下げも金融緩和であることから、市場参加者が好感してもおかしくなかった。しかし、市場の反応は真逆だった。その理由は、今回のコロナショックが需要ショックではなく、供給ショックに起因しているからであろう。

コロナショックは供給ショックがきっかけ

経済ショックは主に需要ショック、供給ショック、金融ショックの3つがある。需要ショックは増税等によって消費や設備投資が減少し経済が低迷すること、供給ショックは工場や店舗などの供給能力の毀損によって経済が低迷すること、金融ショックは金融機関の破綻等によって経済が低迷することを指す。今回は新型コロナウイルスの感染拡大によって工場の生産能力低下、供給網や交通網の遮断、小売り店舗の一部閉鎖などが起こったことから、供給ショックと分類できる。そもそも中央銀行による利下げは需要ショックに対処する金融政策なので(FRBが緊急利下げを行ったところで感染拡大を抑制(供給能力を回復)できるわけではない)、マーケットが売りで反応しても不思議では無いのだ。

今後はトリプル・ショックに警戒すべき

今後警戒すべきは、コロナ・ショックが供給ショックだけでなく、需要ショックや金融ショックまで発展するリスクだろう。新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して個人が消費を抑制するだけでなく、企業も設備投資を控えるようになれば、コロナショックは需要ショックに変化する。さらに、中小企業を中心に資金繰りが厳しくなれば不良債権が増加、金融機関の経営も圧迫される。そして、資金調達環境が全般的に悪化すれば金融ショックも引き起こしかねない。最悪の場合、これら3つの経済ショックが同時に起こる可能性すらある。FRBがそこまでのリスクを認識していれば、緊急利下げも納得がいく。当面はリスクを抑えたポートフォリオを維持すべきだろう。

 

日次、上限レート、期間:2007年12月末~2020年3月5日  出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]フェデラル・ファンド・レート(政策金利) 日次、上限レート、期間:2007年12月末~2020年3月5日
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

 

日次、配当無し、単位:ポイント、期間:2019年12月末~2020年3月5日  出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]S&P500株価指数(米ドル建て) 日次、配当無し、単位:ポイント、期間:2019年12月末~2020年3月5日
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

出所:ピクテ投信投資顧問作成
[図表3]経済ショックの波及経路(イメージ) 出所:ピクテ投信投資顧問作成

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナウイルスで警戒すべきトリプル・ショック』)。

 

(2020年3月6日)

 

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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