IMF、アルゼンチンの債務持続性に懸念示す

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IMFはアルゼンチンの債務持続性などについて分析した報告書を19年7月に公表しています。この報告書と、今回の声明のトーンを比べると、アルゼンチン経済に改善が見られないことや政権が変わったこともあり、アルゼンチンの債務返済に対する姿勢への評価は悪化した印象です。

アルゼンチン:IMFはアルゼンチンの債務持続性を懸念、民間債券保者の損失を示唆

国際通貨基金(IMF)は2020年2月19日、アルゼンチンと12日から19日にわたった一連の実務者協議を経た後に、声明を公表しました。IMFは「アルゼンチンの債務は持続せず」との見解を示すと共に、アルゼンチンが債務の持続可能性を回復させるには、民間の債券保有者からの意味のある貢献が必要と指摘しています。

 

また、IMFはアルゼンチンが債務借り換えリスクを減らすのに必要となる基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化を実現することは、経済的にも政治的にもほぼ不可能との認識を示しました(図表2参照)。

 

日次、期間:2019年2月19日~2020年2月19日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]アルゼンチン国債価格とペソ(対ドル)レートの推移 日次、期間:2019年2月19日~2020年2月19日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

年次、期間:2015年~2020年、19、20年はIMF予想値、18年は推定値  出所:国際通貨基金(IMF)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]アルゼンチンのPB対GDP(国内総生産)比率の推移 年次、期間:2015年~2020年、19、20年はIMF予想値、18年は推定値
出所:国際通貨基金(IMF)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきかアルゼンチン、債務持続性、PB、デフォルト

IMFはアルゼンチンの債務持続性などについて分析した報告書を19年7月に公表しています。この報告書と、今回の声明のトーンを比べると、アルゼンチン経済に改善が見られないことや政権が変わったこともあり、アルゼンチンの債務返済に対する姿勢への評価は悪化した印象です。

 

まず、アルゼンチンの通貨や国債の動向を見ると、債務不履行(デフォルト)への不安が高まっていることがうかがえます。例えば、通貨ペソ安が足元進行しています。ペソはキャピタル・コントロール(資本規制)されていますが、それでも資本流出が止まらない状況です。発行後ある程度の価格水準を維持していたアルゼンチン100年国債(満期2117年6月28日、利率7.125%)の価格は、19年10月の大統領選挙で現大統領のフェルナンデス氏が選挙で優位となった19年8月頃に急落、足元も軟調な展開です。

 

次に、IMFが今回の声明で懸念を表明したPBを振り返ります。図表2は19年7月の報告書に示されているアルゼンチンのPB対GDP(国内総生産)比率です。当時の予想では20年には同比率がプラス(黒字)に転じることが想定されています。推移だけで判断すると改善に見えますが、19年以降のPBの改善は輸出品への課税が背景です。大豆輸出などの強みのある産業を苦しめる政策で、国内で厳しく批判されています。マクリ前大統領が輸出税を導入したのはIMFの融資を受けるためPBの改善を迫られた面もあります。当時の報告書を見ると、PB改善を求めていたIMFも、輸出税への支持は消極的でした。ただ、代替手段が見当たらない中、債務負担軽減の鍵となるPB改善に対する当時のマクリ政権の強い姿勢についてはIMFが評価していた面も見られます。

 

そこで、次の問題は現在のフェルナンデス政権です。債務持続性を確保するには歳出削減または歳入増による対応が求められます。しかし、今のところアルゼンチンは最大の債権者であるIMFに融資の減免を求める構えです。IMFは対話は続ける意向ですが、今後の展開は不透明です。

 

民間の債券保有者の貢献はデフォルトの意味でしょうが、その場合、直接的な影響は比較的小さい可能性があります。アルゼンチンは1810年の建国以来、主要なものだけで8回デフォルトを起こしています。投資はある程度リスク覚悟と見られることや、市場もある程度デフォルトを織り込んでいるからです。ただ、他国への波及などのリスクに注視は必要です。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『IMF、アルゼンチンの債務持続性に懸念示す』を参照)。

 

(2020年2月20日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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