南ア・ランド、格下げ懸念再浮上…注目点は経済成長と財政政策

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南アの通貨ランドは昨年後半、米中貿易戦争に加え、格下げ懸念を背景に不安定な動きとなりました。昨年11月にムーディーズが定期見直しの結果、格付けを据え置いたことで、ランド高に転じましたが、今年になり、格下げ懸念などが再び浮上しています。次回の見直しは来月3月と見られますが、格下げの注目点は、経済成長と財政政策です。

南アフリカ成長率見通し:ムーディーズの見通し引き下げで格下げ懸念浮上

ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は2020年2月17日に南アフリカの20年のGDP(国内総生産)成長率見通しを従来(昨年9月)の年率1.5%から0.7%に引き下げました。ムーディーズの発表を受け、南アの通貨ランド(対ドル)は引き続き下落傾向となっています(図表1参照)。ムーディーズは南アの格付けをBaa3(BBB-に相当)と、投資適格格付け(BBB-以上)の最低水準としています。

 

日次、期間:2019年2月18日 ~2020年2月18日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]南アフリカ・ランド(対ドル)レートの推移 日次、期間:2019年2月18日 ~2020年2月18日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

なお、他の大手格付け会社であるS&Pグローバル・レーティングやフィッチ・レーティングスは、南アの格付けについては投資適格(BBB-)を下回るとしています。

どこに注目すべきか:格下げ懸念、成長見通し下方修正、予算

南アの通貨ランドは昨年後半、米中貿易戦争に加え、格下げ懸念を背景に不安定な動きとなりました。昨年11月にムーディーズが定期見直しの結果、格付けを据え置いたことで、ランド高に転じましたが、今年になり、格下げ懸念などが再び浮上しています。次回の見直しは来月3月と見られますが、格下げの注目点は、経済成長と財政政策です。

 

ムーディーズは20年の南アの成長率見通しを引き下げましたが、21年も0.9%と引き続き低成長を見込んでいます。

 

南アの景気回復が鈍い背景として、ムーディーズは外部要因(貿易戦争や新型コロナウイルス)より、低迷する内需など内部要因が大きいと指摘しています。

 

例えば、南アの19年10-12月期失業率は29.1%と25%前後であった2015年の頃より悪化しています。失業率の上昇(悪化)に伴う格好で、小売売上高も、過去2年概ね低下傾向です。18年2月に就任したラマポーザ政権にとっても、頭痛の種と思われます。

 

足元2.5%程度と、相対的に高い実質金利も成長の足かせとなっています。南アのインフレ率は前年比約4%と南ア準備銀行(中央銀行)のインフレ目標(3~6%)に収まっていますが、ランド安と、財政改革が停滞し、潜在的なインフレ懸念があるため、南ア中銀の利下げペースは緩やかに留まると見込まれています。

 

南アの電力は国営電力会社に依存していますが、供給が不安定なことは、製造業活動の深刻な押し下げ要因です。

 

次に、財政政策ですが、電力供給不安の原因であると共に、財政改革の最大の懸案である国営電力会社の経営建て直しは遅れています。国の重要課題を年に1度報告する先日の議会演説でも、野党が閣僚の辞任を求め演説を中断するなど、議論がかみ合わない状況です。

 

国の信用リスクを取引するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場で、南アはブラジル(既に投資不適格)を上回り(高い信用リスク)、格下げは織り込まれています。

 

ただ、今後見るべき注目点もあります。南アの20/21年度予算案が2月末に控えていることです。無駄な歳出の削減と同時に、成長戦略を組み込めるかに注目しています。

 

四半期、期間:2009年7-9月期 ~2019年7-9月期、前期比年率 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]南アGDP(国内総生産)成長率の推移 四半期、期間:2009年7-9月期 ~2019年7-9月期、前期比年率
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『南ア・ランド、格下げ懸念再浮上…注目点は経済成長と財政政策』を参照)。

 

(2020年2月19日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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