本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差+0.8と8カ月ぶり上昇、一致CI前月差0.0で横這い

一致CIの3カ月後方移動平均の前月差▲1.90で3カ月連続の下降

12月分の機械的な基調判断は「悪化を示している」で据え置き

 

 
 

●12月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.8ポイント上昇した。8カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列で、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの8系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数1系列が前月差マイナス寄与になった。

 

●12月分の一致CIは前月差0.0と横ばいになった。速報値からデータが利用可能な7系列で、生産指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業の3系列が前月差プラス寄与に、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の4系列が前月差マイナス寄与になった。

 

●12月分の一致CIの指数水準は2015年=100として94.7となった。なお、直近のピークは17年12月分の105.2で、足元の水準はそれに比べると10.5ポイント低い。19年で最も高かった5月分の102.1に比べると7.4ポイント低い水準だ。19年11月分・12月分は、13年2月の93.8以来の低水準である。

 

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差▲1.90ポイントと、3月連続の下降になった。7カ月後方移動平均は前月差▲1.05ポイント下降し、19カ月連続の下降になった。

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、一致CIを使った景気の基調判断をみると、5月分・6月分・7月分と「下げ止まり」の判断だったが、8月分で「悪化」に下方修正された。9月分・10月分・11月分に続き、12月分では当月の前月差は横這いで、3カ月後方移動平均が前月差下降であるため、基調判断は「悪化」継続になった。

 

●なお、12月分までが不変で、1月分以降一致CIが毎月前月差+0.6ずつ上昇すると、20年1月分で3カ月後方移動平均の前月差が0.00とマイナスでなくなる。そして3月分で3カ月後方移動平均の前月差の2カ月累計が前月差+1.00と1標準偏差分の0.90上回る。かつ当月の前月差の符号がプラスであるため、基調判断は「下げ止まり」に転じることになる。

 

●12月分の先行DIは55.6%と8カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数の5系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、中小企業売上げ見通しDIの5系列がマイナス符号になった。

 

●一方、12月分の一致DIは7.1%と景気判断の分岐点の50%を3カ月連続で下回った。速報値からデータが利用可能な生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列がマイナス符号に、有効求人倍率1系列が保合いとなった。

 

 

●2月25日発表予定の12月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は2月19日である。また在庫率関連データが2月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●12月分景気動向指数・改訂値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。12月分速報値は92.1と11月分の94.1から低下した。2月21日発表の確報値が速報値と同じだとすると、前月差寄与度は▲0.39程度で下方修正要因になる。また、DIではマイナス符号として加わることになろう。他の系列の符号が変わらなければ、一致DIは6.3%で速報値の7.1から下方修正になろう。生産指数関連データなどが2月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●1月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。消費者態度指数1系列が前月差プラス寄与に、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。

 

●また、1月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、消費者態度指数、東証株価指数の2系列がプラス符号に、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列がマイナス符号になることが判明している。1月分速報値段階の先行DIは22.2%以上77.8%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年12月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

2020年2月7日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

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