第2の配当「資本剰余金からの配当」は税金の計算が違う!?

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年2月6日に公開されたものです。

 

普段何気なく受け取っている配当金ですが、実は配当金には2種類あります。


もし「資本剰余金からの配当金」を受け取ったら、要注意です。

配当金には2種類あった!

株式投資をする上で楽しみの1つが配当金。不思議とボーナスやお小遣いをもらったような気分になる方も多いのではないでしょうか。

 

配当金には、「利益剰余金」を原資とするものと、「資本剰余金」を原資とするものがあります。大部分は利益剰余金を原資とするものです。この場合は何か特段注意する点はありません。

 

しかし、時たま出現する、資本剰余金を原資とする配当金を受け取る場合、いくつか注意しなければなりません。

資本剰余金を原資とする配当金とは何か

通常、配当金は企業が獲得した利益の一部を分配する、という位置づけです。もう少し正確に言えば、過去に獲得した利益の蓄積である「利益剰余金」の中から配当金が支払われる、というものです。

 

しかし、利益剰余金ではなく、いわば資本金の余りである「資本剰余金」を使って配当を出すことも認められています。

 

そのため、それほど頻繁ではありませんが、資本剰余金を原資とした配当金が支払われるケースがあります。


例えば、最近では下記の企業が資本剰余金を原資とした配当をおこなっています。

 

●スペースバリューホールディングス(1448)
●新日本科学(2395)
●メディアスホールディングス(3154)
●エムアップ(3661)
●エアトリ(6191)
●キュービーネットホールディングス(6571)
●システムソフト(7527)

資本剰余金を原資とした配当金は無税

通常、配当金を受け取る際には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が天引きされた上で、残額を受け取ることになります。

 

でも資本剰余金を原資とした配当金の場合は、この天引きがされず、配当金全額を丸々受け取ることができます。なぜならこの配当金は、名前こそ配当金ですが、その実態は配当金ではなく「過去に株主に払いこんでもらった出資金の払戻し」だからです。

 

なお、資本剰余金を原資とした配当金が支払われる場合、その中に「みなし配当」と呼ばれるものが含まれていることがあります。「みなし配当」について理解するのは非常に難解であるため、説明は省略しますが、そういうものがあると知っておいていただければ大丈夫です。

 

資本剰余金を原資とした配当でも、この「みなし配当」とされるものについては一般的な配当金と同様、配当所得となります。

 

みなし配当の有無や、その金額については、会社から株主へ通知されます。

「取得価額の調整(減額)」と「みなし譲渡損益の計算」がポイント

資本剰余金を原資とする配当金を受け取ったとき、税金計算上注意しなければならないポイントが2つあります。「取得価額の調整(減額)」と「みなし譲渡損益の計算」です。

 

資本剰余金からの配当金を受け取る場合、会社側から「純資産減少割合」というものが公表されます。これは、会社の純資産を1としたとき、今回の配当によってどのくらいの割合の純資産が減少するかを示すものです。

 

下の図表をご覧ください。例えば、X社の配当支払前の純資産が1株当たり1,000円、資本剰余金からの配当金としてX社が支払った額が1株当たり100円であれば、純資産が10%減少しているので純資産減少割合は「0.1」となります。

 

このとき株主としては、X社全体として株主の持ち分である純資産が10%減ったのだから、株主自身が保有している株式の取得価額も同じように10%減らす必要があるのです。これを「取得価額の調整」ないし「取得価額の減額」と呼びます。

 

図表のように、X社株につき資本剰余金の配当がなされ、純資産減少割合が0.1の場合、1株5,000円で購入したAさんは、5,000円×0.1=500円だけ取得価格を減額させ、取得価額を5,000円から4,500円に修正する必要があります。同様に1株400円で購入したBさんは、400円×0.1=40円を減額し、新しい取得価額は360円となります。

資本剰余金を原資とした配当金は無税

通常、配当金を受け取る際には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が天引きされた上で、残額を受け取ることになります。

 

でも資本剰余金を原資とした配当金の場合は、この天引きがされず、配当金全額を丸々受け取ることができます。なぜならこの配当金は、名前こそ配当金ですが、その実態は配当金ではなく「過去に株主に払いこんでもらった出資金の払戻し」だからです。

 

なお、資本剰余金を原資とした配当金が支払われる場合、その中に「みなし配当」と呼ばれるものが含まれていることがあります。「みなし配当」について理解するのは非常に難解であるため、説明は省略しますが、そういうものがあると知っておいていただければ大丈夫です。

 

資本剰余金を原資とした配当でも、この「みなし配当」とされるものについては一般的な配当金と同様、配当所得となります。

 

みなし配当の有無や、その金額については、会社から株主へ通知されます。

「取得価額の調整(減額)」と「みなし譲渡損益の計算」がポイント

資本剰余金を原資とする配当金を受け取ったとき、税金計算上注意しなければならないポイントが2つあります。「取得価額の調整(減額)」と「みなし譲渡損益の計算」です。

 

資本剰余金からの配当金を受け取る場合、会社側から「純資産減少割合」というものが公表されます。これは、会社の純資産を1としたとき、今回の配当によってどのくらいの割合の純資産が減少するかを示すものです。

 

下の図表をご覧ください。例えば、X社の配当支払前の純資産が1株当たり1,000円、資本剰余金からの配当金としてX社が支払った額が1株当たり100円であれば、純資産が10%減少しているので純資産減少割合は「0.1」となります。

 

このとき株主としては、X社全体として株主の持ち分である純資産が10%減ったのだから、株主自身が保有している株式の取得価額も同じように10%減らす必要があるのです。これを「取得価額の調整」ないし「取得価額の減額」と呼びます。

 

図表のように、X社株につき資本剰余金の配当がなされ、純資産減少割合が0.1の場合、1株5,000円で購入したAさんは、5,000円×0.1=500円だけ取得価格を減額させ、取得価額を5,000円から4,500円に修正する必要があります。同様に1株400円で購入したBさんは、400円×0.1=40円を減額し、新しい取得価額は360円となります。

 

出所:筆者作成
出所:筆者作成

株を売ってなくても売ったとして扱われる「みなし譲渡損益」

もう1つ、「みなし譲渡損益」の計算をする必要があります。これは、自身の持ち株のうち純資産減少割合の分だけ譲渡し、その対価として資本剰余金からの配当を受け取ったと考えて譲渡損益を計算する規定です。

 

上の例のように純資産減少割合0.1であれば、持ち株のうち10%を譲渡したとみなし、資本剰余金からの配当金をそれに対する収入金額とします。

 

さきほどの図表をご覧下さい。資本剰余金からの配当金が1株当たり100円であった場合、Aさんは収入金額100円に対し、譲渡したとみなされる部分の取得価額に該当するのが減額した500円ですから、「100円-500円」でマイナス400円、つまり400円のみなし譲渡損が生じます。

 

一方、Bさんは収入金額100円に対して減額する取得価額は40円なので、「100円-40円」となってプラス60円、つまり60円のみなし譲渡益が生じることになります。

取得価額の調整やみなし譲渡損益の計算は誰が行うのか

「取得価額の調整(減額)」と「みなし譲渡損益の計算」を行わないと、資本剰余金からの配当を受け取った際の正しい税金計算ができません。

 

この点についての証券会社の対応は異なるようですが、楽天証券の場合は以下のような取り扱いになっています。

 

一般口座での保有株式


●取得価額の調整(減額)…証券会社では行わない
●みなし譲渡損益の計算…証券会社では行わない

 

特定口座での保有株式(源泉徴収あり口座、なし口座のいずれも)


●取得価額の調整(減額)…証券会社にて行う
●みなし譲渡損益の計算…証券会社では行わない(特定口座内の譲渡損益にはならない)

 

つまり、一般口座での保有株式について資本剰余金からの配当があった場合、取得価額の調整もみなし譲渡損益の計算も自分自身で行う必要があるということです。

 

特定口座での保有株式であれば、取得価額の調整は証券会社で行ってくれますが、みなし譲渡損益の計算は自らが行わなければなりません。

 

もし、みなし譲渡益が生じていた場合は、確定申告して税額を納付する必要が生じることになります。面倒ではありますが、みなし譲渡損益がどれくらい生じるかは計算しておきましょう。
 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年2月6日に公開されたものです。

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著者紹介

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