平均と中央値
算術平均、幾何平均、調和平均の3つの平均で表しにくいものが「並」という概念です。「並」を表すのが「中央値」です。中央値はデータを大きさの順に並べた時に中央にくる数字で、中央値より大きな数字のデータ数と、中央値より小さな数字のデータ数が同じになります。
「並」という概念
これまで算術平均、幾何平均、調和平均、の3つの平均についてご説明してきましたが、これら3つの数字でも表しにくいものがあります。それが「並」という概念で、一般的に使われる「平均」という言葉がイメージさせる「並」は「平均」では表しにくいことがあります。
例えば、右の表のようにAさんからIさんの9人が持っているドングリの数に大きなバラつきがある場合、算術平均は以下の通りです。
(1+20+30+400+500+600+700+8,000+90,000)÷9=11,139個
このように大きな数字の影響を強く受けて11,139個となります。この9人は「平均すると11,139個のドングリを持っています」と言っても、実際に11,139個を超えるドングリを持っているのは1人だけで、8人はこの数字に及ばず、7人の人は遠く及ばない数しか持っていません。
一方、幾何平均は、以下の通りです。
9√(1×20×30×400×500×600×700×8,000×90,000)=321個
このように321個となりますが、今度は数字が小さすぎて9人中6人が上回っており、もしここに321個のドングリを持った人が現れても、この人が持っているドングリの数はこのグループの中で「並」とは言えません。
調和平均は以下のとおりです。
9÷(1/1+1/20+1/30+1/400+1/500+1/600+1/700+1/8,000+1/90,000) = 8個
幾何平均同様、数字が小さすぎてとても「並」とは言えません。
「中央値」とは
この「並」をよく表してくれるのが「中央値」です。中央値はデータを大きさの順に並べた時に中央にくる数字で、データが偶数個の場合は中央2つの数字の算術平均です。つまり、中央値よりも大きな数字のデータ数と、中央値よりも小さな数字のデータ数が同じになるということです。5つのデータの中で3番目の数字、101個のデータの中の51番目の数字、というのは「平均」という言葉イメージさせる「並」をよく表してくれます。
中央値:データを大きさの順に並べた時に中央にくる数字を確認しましょう。
例1:{32、65、82、105、147}の中央値は82
例2:{32、65、82、105、147、205、310}の中央値は105
例3:{32、65、82、105、147、205、310、321、418}の中央値は147
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識役に立つ平均編(4)<平均と中央値>』を参照)。
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