アジア株式市場は堅調に推移
米中の貿易摩擦収束に一定の安心感
■アジアの株式市場は、19年末から20年年初にかけてやや上値が重くなりましたが、再び上値を追う展開となりました。昨年末から1月14日までの上昇率をみると、アジア株価指数が+3.4%でした。主な国・地域を見ると、中国が+4.6%、香港+4.5%、韓国+3.3%、インド+2.7%、台湾+2.4%でした。米中は「第1段階」の通商合意について15日に署名する予定で、貿易摩擦がいったん収束することによる安心感がアジア全体に広がったことが背景です。
業績は改善傾向を強める
16年6月以降の好循環へ
■アジア株価指数の1株当たり予想利益は昨年8月末に底を付けて以降、順調に改善傾向を強めています。08年や16年も、業績が底を打って改善に向かう1、2年間は、株価が大きく反騰する傾向が確認されます。世界景気は緩やかながら回復に向かうと期待されており、アジア株式市場は堅調に推移する可能性が高まっています。
予想株価収益率が上昇しているが割高感は少ない
■業績が改善方向にある中、株価が堅調に推移していることから、アジア株価指数の12カ月先予想株価収益率(PER)は13.9倍と2006年以降の平均値12.3倍を上回っていますが割高感は少ないと考えられます。PERの逆数である益回りは7.2%で、米国10年国債利回りとの差は▲5.4%です。平均値は同▲5.3%であり、金利差(*)からは割高感はありません。世界的な低金利に支えられ、また、業績改善が一段と進めば、アジア株式市場は堅調に推移すると考えられます。
(*)金利差は米国10年国債利回り-益回りで計算。マイナス幅が大きいほど割安と判断できま
す。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アジア株式市場、予想株価収益率上昇も割高感は少ない』を参照)。
(2020年1月15日)
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