英国総選挙、何故差がついたのか?

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現時点(12月13日午前)、英国総選挙の最終結果は未確定ですが、出口調査の誤差が過去比較的小さかったことから、保守党が過半数を確保する公算です。EU離脱を巡る不透明感の低下期待からポンドは上昇しました。今後は、英国EU離脱の具体的なプロセスが注目されます。

英国総選挙:出口調査では与党保守党が過半数獲得の見通し、労働党は歴史的大敗か

英国の欧州連合(EU)の離脱(ブレグジット)を最大の争点とした総選挙の投票が2019年12月12日22時(日本時間13日午前7時)に締め切られました。

 

現地メディアの出口調査によると、保守党は368議席、労働党は191議席、自由民主党13議席、スコットランド民族党(SNP)55議席、緑の党(1議席)と予想されています(図表1参照)。なお、ブレグジット党はゼロが予想されています。保守党の出口予想は、直前の世論調査(339議席程度)を大幅に上回る結果が見込まれています。

 

時点: 2017年(左,議席数)、2019年(右、出口調査結果)、19年は予想 ※その他:17年は民主統一党、シン・フェイン無所属、議長、19年は予想 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]19年英国総選挙出口調査と17年総選挙の比較 時点: 2017年(左,議席数)、2019年(右、出口調査結果)、19年は予想
※その他:17年は民主統一党、シン・フェイン無所属、議長、19年は予想
出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:英国総選挙、出口調査、保守党、離脱期限

現時点、英国総選挙の最終結果は未確定ですが、出口調査の誤差が過去比較的小さかったことから、保守党が過半数を確保する公算です。EU離脱を巡る不透明感の低下期待からポンドは上昇しました(図表2参照)。今後は、英国EU離脱の具体的なプロセスが注目されます。

 

日次、期間: 2015年12月14日~2019年12月13日(日本時間正午) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2] 英国ポンド(対ドル)レートの予想 日次、期間: 2015年12月14日~2019年12月13日(日本時間正午)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

選挙の最終結果が出る前に勇み足ではありますが、「何故保守党が勝ち、労働党は大敗で、自由民主党は伸び悩む調査結果となったのか?」を今わかってることをベースに考えます。紐解く一つの切り口は戦略と戦術です。

 

戦略はEU離脱に賛成それとも反対かです。保守党は濃淡はあれEU離脱に賛成です。保守党候補者はジョンソン首相がまとめたEUからの離脱案を支持することで、選挙に臨んでいます。一方、野党は基本的に残留支持を旗印としています。ただ労働党は離脱支持も含まれていたようです。

 

ここで英国民はEU離脱と残留のどちらを支持しているかを世論調査で見てみると、EU残留支持が離脱を上回っています。野党は有利な戦略を選択したといえそうです。

 

しかし、野党は戦術が整いませんでした。小選挙区なのに選挙協力が出来なかった点が不利に働いた可能性があるからです。残留か離脱かで党内をまとめきれなかった労働党は戦術も戦略も整わなかったわけで、歴史的敗北が見込まれているのも、無理からぬことでしょう。

 

別の切り口として、党首の人気や信頼度があげられます。EU残留を支持する自由民主のスウィンソン党首は、スコットランドの選挙区で落選しています。党首辞任を表明した労働党のコービン氏は、掲げた政策が富裕層増税や産業国有化が不人気(ピクテでは社会化政策をEU離脱よりも懸念していた)の背景と見ています。

 

もっとも、ジョンソン首相も独特のキャラクターが報道などで批判されています。ただ最近の動向を見るとジョンソン首相はEU首脳とまずまずの関係を保っています。例えば、今月月初に開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、ジョンソン首相とEU首脳の「意外と」良好な関係が伝えられています。今後のEUとの交渉にとり悪い話ではないでしょう。

 

今後ですが、来年1月末の離脱期限までに合意案が成立し、その後移行期間という流れが想定されます。当面(長期的には?)ブレグジットに関しては落ち着きが想定されます。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『英国総選挙、何故差がついたのか?』を参照)。

 

 

(2019年12月13日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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