「スケープゴート」にされた自動車輸入
経済アナリストは、中央銀行が紙幣を増刷して財政赤字の穴埋めをし、国際収支が悪化しているスリランカの状況から、「スケープゴート(生贄)」として目を付けられやすい車の輸入が制限されることになる、とこれまで警告してきた。
輸入制限の手法として、貿易業務でL/C(信用状)のクレジットに追加の保証金を求めることは(IMFに対する義務に抵触するものの)、大方予想されたものではあった。ところが当局は今回、さらに踏み込んで、自動車ローンにおけるLTV(貸出残高/担保評価額)を90%から70%に厳格化したため、現預金の少ない一般市民にとってダメージの大きな規制となった。
ローン規制が厳格化される前、500,000ルピーだった三輪自動車は、10%の50,000ルピーの頭金があれば購入することができた。それが輸入制限されて以降、価格は600,000ルピーにまで値上がりしたうえに、LTVが70%に制限されたために、必要となる頭金は30%の180,000ルピーになってしまった。
国際収支問題の解決には正攻法を
バイクは雇用を増やしている自営業者によって、ローンで購入されることが多い。自動車や二輪車など庶民の足を奪うことになる今回の規制は、ビジネスチャンスを奪ってしまい意図せぬ結果を招いてしまうのではないか、と経済アナリストは懸念を示している。
そもそも問題となっている国際収支を正常に戻すためには、金利を操作したり、中央銀行が商業銀行のシステムにルビーを注入するといった、その場しのぎの政策をやめることが必要だという。中央銀行が今後も増刷した紙幣で短期国債を買い支え、過剰な需要を経済システムに注入し続ければ、国際収支の悪化という問題は根強く残るだろうと、同アナリストは指摘をする。