財政赤字に通貨ルピーの下落や国際収支の悪化といった問題に悩まされているスリランカ。国外への富の流出を抑える目的で、自動車の輸入を厳しく規制する政策を実施し始めたことから、車両登録の数が激減しています。この問題を現地報道より前編・後編の2回にわけてお伝えします。

低価格帯の車両を中心に大きく減少した登録数

2015 年11 月にピークを迎えたスリランカの新規車両登録数は、増税と自動車ローンに関する規制強化のため、2016年1月には約半分にまで落ち込んだ。スリランカでの車両登録数は11月の61,864台から、12月は54,316台、そして1月には31,854台へと落ち込んだことが、発表されたデータから明らかになった。

 

データを分析したJB証券の分析によると、車両登録の内訳ではインドに拠点を置くスズキ子会社のマルチ・スズキを始め、バイクやオート三輪といった、低価格帯の自動車登録が最も縮小しているということだ。

 

具体的には、オート三輪の登録数は11 月の10,494台から1 月には3,440 台と、67%下落した。バイクは11 月の31,262台から、1月は21,287台と29%減。軽トラックは12 月の1,613台から54%減少して、1 月は801台の登録だった。

ローンの貸付基準(LTV)も厳格化

2015年11月、翌年度の予算案審議が迫り、増税が予想されるなかで、バイヤーたちは大慌てで車を輸入する駆け込み需要があった。

 

また2015年、政府の選挙時における票集めの一環として、国家公務員の月給を10,000 ルピー値上げし、国家公務員による購入で、小型車の輸入がやや伸びた。一部の国家公務員は、購入した自動車をリースするなどして、「財テク」にいそしんでいる一方、一般市民は車を買えないことに対する不満が高まっている。

 

12月から中央銀行は、車両に対するLTV(貸出残高/担保評価額)比を90%から70%に引き下げ、輸入に制限を加えた。 スリランカでは、金利を抑えつつ、紙幣を増刷して予算を調達する中で、輸入を制限することが政策的な習慣となっている。スリランカの一般市民にとって、大きなダメージを与えた1970 年代の貿易制限でも、発行された国債を、増刷した紙幣をもとに中央銀行がほぼ全て買い取る政策を行っていた。
 

後編では、今回の輸入制限の中身について具体的に見ていきます。

この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2016年2月24日に掲載した記事「Sri Lanka vehicle purchases plunge after tax hike, leasing controls」を、翻訳・編集したものです。

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