本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率+1.8%に第1次速報値同+0.2%から上方修正

 

民間設備投資は前期比+1.8%に同+0.9%から大幅上方修正

 

個人消費は前期比+0.5%に、公共投資は前期比+0.9%にともに0.1ポイント上方修正

 

 

●19年7~9月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.4%、前期比年率+1.8%となり、第1次速報値の前期比+0.1%、前期比年率+0.2%から上方修正となった。4四半期連続プラス成長である。各需要項目がほとんど上方修正された。また、19年4~6月期は前期比+0.5%、前期比年率+2.0%と、前期比+0.4%、前期比年率+1.8%から上方修正となった。

 

●18年度の実質GDP成長率は第一次年次推計値で+0.3%と、速報値の+0.7%から下方修正となった。

 

●7~9月期・第2次速報値の名目GDP成長率は前期比+0.6%、前期比年率+2.4%に、第1次速報値の前期比+0.3%、前期比年率+1.2%から上方修正となった。名目GDPの季節調整値は559.2兆円である。

 

●7~9月期の個人消費・前期比は、第1次速報値の+0.4%から前期比+0.5%へ上方修正となった。

 

●7~9月期実質住宅投資は前期比+1.6%と第1次速報値の同+1.4%から上方修正となった。

 

●7~9月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の+0.9%から、新たに加わった需要サイドの法人企業統計のデータが強かったため、第2次速報値では同+1.8%へと大幅に上方修正された。2四半期連続の増加となった。

 

●7~9月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.2%と第1次速報値の▲0.3%から上方修正となった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.1%で第1次速報値の▲0.2%から上方修正となった。流通品在庫は前期比寄与度▲0.1%で第1次速報値の0.0%から下方修正となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は第1次速報値の0.0%から+0.1%に上方修正。一方、同じく仮置き値の仕掛品在庫前期比寄与度は▲0.1%と第1次速報値と同じになった。

 

●7~9月期実質政府最終消費支出は前期比+0.7%で第1次速報値の同+0.5%から上方修正された。7~9月期実質公共投資は第1次速報値の+0.8%から同+0.9%に増加した。9月分の公共投資出来高が伸び率を高めていた。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%で第1次速報値と変わらなかった。

 

●7~9月期の外需(純輸出)の前期比寄与度は第1次速報値と同じ▲0.2%で変わらなかった。実質輸出の前期比▲0.6%で第1次速報値の▲0.7%から上方修正されたが、控除項目の実質輸入の前期比は+0.3%で第1次速報値の+0.2%から上方修正となった。

 

●7~9月期のGDPデフレーターの前年同期比は+0.6%で第1次速報値と変わらなかった。国内需要デフレーターの前年同期比も+0.2%で第1次速報値と同じになった。

 

●7~9月期第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.3%であったが、法人企業統計の発表を織り込んだ第2次速報値では同▲0.2%に上方修正になった。この内訳に関しては雰囲気しか教えてもらえないが、第1次速報値では4項目でプラス寄与は流通品在庫だけで、残りはマイナス寄与。マイナス寄与が大きい順に、製品在庫、仕掛品在庫、原材料在庫となっていた。第2次速報値では法人企業統計のデータが加わり、原材料在庫はプラス寄与に上方修正され、流通品在庫よりもプラス寄与度が大きくなった。一方、残る、製品在庫、仕掛品在庫はこの順番の大きさでマイナスス寄与となったようだ。

 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、10~12月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲6,870億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は1,876億円である。

 

●19年度内閣府年央試算+0.9%程度達成には残り3四半期で各々前期比年率▲2.5%程度(前期比▲0.65%)程度になることが必要だ。18年度から19年度へのゲタは+0.5%となった。

 

 

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年7~9月期実質GDP(第2次速報値)について』を参照)。

 

2019年12月9日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

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