2019年7~9月期「法人企業統計・設備投資」などについて

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前期比+1.2%、前年同期比+7.7%

7~9月期実質GDP成長率、第2次速報値は法人企業統計受けて上方修正か

 

 

●19年7~9月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+7.7%と、4~6月期の前年同期比▲1.7%から9.4ポイント伸び率が高まった。米中貿易戦争などの影響で輸出・生産が弱含みの環境下、4~6月期の前年同期比▲7.7%の減少と大きく落ち込んだ製造業が、7~9月期で前年同期比+6.7%と増加に転じた。14.4ポイントも伸び率が改善した。非製造業は7~9月期で前年同期比+8.4%の増加と4~6月期の前年同期比+1.8%の増加から6.6ポイント伸び率が高まった。製造業が弱く、非製造業が底堅い動きである。

 

●GDPの推計に使用する全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+1.2%と2四半期ぶりに増加に転じた。

 

●なお、前回から公表されるようになった法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は▲0.8%で4四半期ぶりの減少になった。前回に引き続き、設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)と逆方向の動きになった。製造業は+1.6%と3四半期ぶりの増加だが、非製造業が▲2.0%と4四半期ぶりの減少になった。

 

●ソフトウェア投資額を含むベースで7~9月期の全産業の前年同期比は+7.7%で4~6月期と比べ9.4ポイント伸び率が改善したが、資本金別の内訳をみると、大企業の寄与が大きかったようだ。資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+0.8%の増加で、4~6月期の前年同期比+10.0%の増加からは9.2ポイント鈍化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+7.7%の増加で、4~6月期の前年同期比+10.8%の増加から3.1ポイント鈍化した。一方、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+10.0%と、4~6月期の前年同期比▲4.1%の減少から14.1ポイント改善した。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した7~9月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+4.4%で4~6月期の+0.8%から増加率が3.6ポイント改善していたが、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は4~6月期から7~9月期へ9.4ポイント改善した。また、7~9月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比(季節調整済み)は+1.2%と増加であるが、法人企業統計(ソフトウェア投資額を除くベース)の前期比も+1.2%になった。

 

●19年7~9月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、7~9月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+7.4%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+10.3%であると公表されている。法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)に設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の名目原系列前期比+10.3%を当てはめると、7~9月期の前年同期比は+4.9%程度になる見込みであったが、実際に発表された法人企業統計では2.8ポイント高い7.7%になった。

 

(在庫投資)

 

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると19年7~9月期は1兆289億円で18年7~9月期の1兆7,416億円から▲7,127億円の減少となった。また、原材料在庫は19年7~9月期は478億円で18年7~9月期の4,448億円から▲3,452億円の減少となった。合わせて▲1兆579億円、前年同期に比べ減少した。

 

●一方、19年7~9月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は▲1,837億円で18年7~9月期の2,778億円から▲4,615億円の減少であった。19年7~9月期GDP第1次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は▲0.3%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目でプラス寄与は流通品在庫だけで、残りはマイナス寄与ということだ。マイナス寄与が大きい順に、製品在庫、仕掛品在庫、原材料在庫となっている模様だ。今回の法人企業統計のマイナス寄与の大きさの順番もGDP第1次速報値と同じになっている。

 

●なお、19年7~9月期第1次速報値では民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.3%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.2%、流通品在庫は前期比寄与度▲0.0%と、ともにマイナス寄与となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。

 

(19年7~9月期GDP・第2次速報値予測)

 

●12月9日に発表される19年7~9月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資などを中心に改定される。

 

●19年7~9月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+1.9%程度と第1次速報値の同+0.9%から増加率が高まると予測した。また、実質民間在庫変動の前期比寄与度は▲0.3%程度と、第1次速報値と変わらないとみた。

 

●また、公共工事出来高の前年比は7~8月分平均が+6.4%だったが、7~9月期の前年同期比は+6.6%と伸び率がやや拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は+0.9%程度と第1次速報値の+0.8%からやや上方修正されるとみた。

 

●19年7~9月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.3%程度、前期比年率+1.1%程度と予測する。第1次速報値の前期比+0.1%、前期比年率+0.2%から上方修正されるとみた。通常の季節調整替えなどの影響に加え、国内家計最終消費のうち非耐久財で今回から、うるう年調整が行われることになったので、個人消費の前期比にも変化があるとみた。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年7~9月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

2019年12月2日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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