広大地評価の活用は魅力的な相続対策ですが、広大地と評価されるかどうかは、その時々の景気動向等によって変わってしまいます。そこで今回は、あらかじめ広大地評価を確定できる「相続時精算課税制度」の活用法について説明します。

景気によって「マンション適地」となる範囲は変わる

前回述べたように、広大地と評価されるかどうかは、その時々の景気動向等によって変わってきます。

 

まず、景気が悪いときには、建築業者等が不動産の開発を行う際、土地が安いので戸建て分譲にしてしまう傾向が強まります。たとえば駅からすぐ近くの好立地でも、マンションではなく戸建てが選択されるようになります。逆に言えば、広大地と評価されるエリアの範囲がそれだけ広がるわけです。

 

しかし、景気がよくなれば土地が高くなるので、戸建てよりも収益率のよいマンションが選ばれるようになります。その結果、逆にマンション適地とみなされる範囲が広がり、広大地と評価されるエリアが狭まっていくわけです。

 

被相続人が亡くなったときに、相続した土地のあるエリアがマンション適地と評価されることになれば、広大地とは認められなくなるわけであり、広大地となるか否かはタイミングに左右されるところがあるといえます。

生前に広大地として評価しておけば評価額は変わらない

そこで、将来的にマンション適地となるおそれのあるエリアに土地を持っている場合には、相続時精算課税制度を使って、生前に広大地評価を確定しておくことを検討するとよいでしょう。

 

相続時精算課税制度とは、生前に贈与された財産について2500万円まではとりあえず特別控除の範囲なので、贈与税は課税されません。精算課税制度で財産の贈与を受けた分を相続時に相続財産に加算し、相続税で精算するという制度です。

 

この制度を利用すれば、被相続人の生前に、2500万円以内の現金や不動産を相続人が贈与された場合でも、贈与税を支払わずにすみます。

 

また、贈与額が2500万円を超える場合には贈与税が課されることになりますが、その税率は一律で20%と定められています。しかも、納付した贈与税は相続税額を計算する際に控除されます。

 

相続時精算課税制度は、もっぱらサラリーマン世帯を対象として相続税の負担軽減を図った制度であり、都市農家の方には、必ずしも効果的な節税方法であるとはいえないのですが、広大地評価との関係ではこの制度を使う意味が大いにあります。

 

すなわち、所有する土地が広大地評価としての評価を受けられるときに、その土地を相続時精算課税制度を使って贈与しておけば、相続時には広大地評価としての評価額で相続税を納めればよいことになるからです。

 

要するに万が一、その後の景気動向によって広大地として評価されなくなったとしても、すでに広大地として評価された評価額は変わらないのです。

 

ことに、将来的に景気が上がることが確実で、その際には、周囲にマンションが次々と建つことがほぼ間違いないようなエリアに土地を持っている場合には、この相続時精算課税制度を利用して、広大地評価を確定しておくことが肝要です。

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    本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『地主のための相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    土田 士朗

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