2019年9月分景気動向指数(速報値)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CIは前月差+0.3、一致CIは前月差+2.0で、ともに2カ月ぶりの上昇

 

一致CI・3カ月後方移動平均の前月差は+0.50、4カ月ぶりの上昇

 

9月の機械的な基調判断は「悪化を示している」で据え置き

 

 

 

●9月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.3ポイント上昇した。2カ月ぶりの上昇である。速報値からデータが利用可能な9系列で、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差プラス寄与に、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数の3系列が前月差マイナス寄与になった。

 

●9月分の一致CIは前月差+2.0ポイント上昇し、2カ月ぶりの上昇となった。消費税増税前の駆け込み需要などがプラスに働いたとみられる。速報値からデータが利用可能な生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列のうち、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の5系列が前月差プラス寄与に、耐久消費財出荷指数、有効求人倍率の2系列は前月差マイナス寄与になった。

 

●9月分の一致CIの指数水準は2015年=100として101.0となった。なお、直近のピークは17年12月分の105.3で、足元の水準はそれに比べると4.3ポイント低い。18年で最も高かった4月分の104.1に比べる3.1ポイント低い水準である。一方、最近で最も低かった19年6月分の99.5に比べると1.5ポイント高い水準である。

 

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差+0.50ポイントと、4カ月ぶりの上昇になった。7カ月後方移動平均は前月差▲0.06ポイント下降し、11カ月連続の下降になった。

 

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、19年3月分では景気後退の可能性が高いことを意味する「悪化」に下方修正され、4月分でも「悪化」だったが、5月分で「景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す」意味を持つ「下げ止まり」に上方修正され、6月分・7月分も同じ判断だった。「下げ止まり」から「悪化」に再び下方修正されるには、「3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が下降、かつ当月の前月差の符号がマイナスであること」が条件である。5月分の一致CIの指数水準は、5月1日・2日の祝日に工場を稼働させた企業が結構あったことなどもあり高水準、このため8月分では、3カ月以上連続して一致CIの3カ月後方移動平均が下降という条件は満たしやすかった。また8月の前月差の符号がマイナスになったため、8月分の基調判断は再び「悪化」に転じた。

 

●9月分では3カ月後方移動平均が4カ月ぶりに上昇に転じ、かつ当月の前月差の符号がプラスとなったものの、3カ月後方移動平均の前月差が予測通りだと0.50程度にとどまり1標準偏差分の0.90にとどかないため、「下げ止まり」には戻れず、基調判断は「悪化」継続になった。「悪化」から「下げ止まり」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの3カ月後方移動平均の前月差がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累計)が振幅目安の+0.90以上になることが必要だ。

 

 

●9月分の先行DIは33.3%程度と5カ月連続して景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数、マネーストック、東証株価指数の3系列がプラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列がマイナス符号になった。

 

●一方、9月分の一致DIは78.6%程度と景気判断の分岐点の50%を4カ月ぶりに上回った。速報値からデータが利用可能な生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列のうち、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の5系列がプラス符号に、鉱工業生産財出荷指数1系列が保合いに、有効求人倍率1系列がマイナス符号になった。

 

●11月25日発表予定の9月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は11月11日である。また在庫率関連データが11月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●9月分景気動向指数・改訂値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。9月分速報値の発表日は本日11月8日で、9月分は107.9と8月分の101.6から大きく増加した。前月差寄与度は+0.33程度で上方修正要因になるとみられる。改訂値に使われる確報値の発表は11月22日である。また、生産指数関連データなどが11月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●10月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。このうち消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列が前月差プラス寄与に、中小企業売上げ見通しDI1系列がマイナス寄与になることが判明している。

 

●また、10月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列では、東証株価指数1系列がプラス符号に、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がマイナス符号になることが判明している。9月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年9月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

2019年11月8日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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