外国人観光客「列の割り込み」、日本人はどうやって注意する?

右肩上がりに高まるインバウンド需要。オリンピックに向け、公私ともに、ますますグローバルなコミュニケーションが求められています。たとえば接客中、外国人観光客の「列の割り込み」を発見したら、どのように対応できるでしょうか? 英語接遇研修のプロである、株式会社RADIANT代表取締役・村田志乃氏の著書『外国人観光客をリピーターにする世界基準の「接客サービス」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋して解説します。

「perhaps」を用いてやんわり注意する

日本では、列に並ぶのは自然な行動パターンです。どんなに混雑したラッシュアワー時の駅でも、皆、列に並び電車が停まれば、まるで映画『十戒』のワンシーンのように左右にさっとわかれて降車する人に道を譲ります。全員が降りきったところで、待っていた人が順番に乗車していきます。非常にスムーズな流れです。

 

コンビニではすべての人が一列に並び、空いたレジに順番に進みます。日本ではこうすることが一番効率よくマナーにかなったことであることを皆が自然に理解しています。 しかし、すべての国の人がそうであるわけではありません。その列の意味を理解しない人もいます。また、知っていても気づかぬふりで強引に横入りしようとする人もいないわけではありません。そのため、必ず列に割り込む人はいます。

 

特にお客様でいつでも込み合っているようなインフォメーションセンターでは、そのような問題はいつも抱えています。その場合にはどのようにすればよいでしょうか。

 

・ Perhaps you did’nt notice that the line actually ends after this gentleman. I’ll be serving you as soon as I finish with this gentleman.

「この列の最後はこちらの紳士なんですが、お気づきではないようでしたね。こちらの方が終わりましたら、すぐにお伺いします」

 

他のお客様が列に並んでいることに気づかなかったりすることは、よくあることです。このような場合にはお客様に恥をかかせることなく上手に対応したいものです。決して「注意する」という口調にならないように注意しましょう。

 

perhaps 「多分/おそらく」あるいはIt seems 「~のようですね」のような表現をソフトにする言葉を使うことが大切です。Sorry. 「あ、失礼」お客様はばつが悪そうに言うかもしれません。そのときはすかさず“No problem. It happens”. 「 あ、大丈夫ですよ。よくあることです」と言って笑顔でお客様の気持ちを楽にしてあげます。 割り込み確信犯のお客様にも同じ方法で対応しましょう。

 

どうやって注意する?
どうやって注意する?

「間に合わないんだ」と急かされた時の対処法は?

ああ、事なきを得た、とホッとするのもつかの間、さらに厄介なことが出てくるのがサービスの現場です。「これ以上待っていたら、バス/飛行機に間に合わないんだ。先にやってくれないかな」と言うお客様が出てきたら? まずは決して動揺しないこと。

 

他のお客様に会釈をして「このお客様に少しの間対応させていただきます」という気持ちを告げます。

 

・What time is your bus/ flight/ train?

「お客様がお乗りになるバス/飛行機/電車は何時でしょうか?」

 

・Well, you still have 15 minutes to catch your bus/ train.

「まだバス/電車が出発するまでに15分ございます」

 

このように冷静に状況を伝えてあげるのもよいでしょう。さすがに間に合わないという場面も出てくるかもしれません。でも列に並んでいるお客様の中にもお急ぎの人はいないとも限りません。さあ、このようなとき、この場面をどのように対応するのがベストでしょうか。

 

・ Since these people have been waiting for long and might also be in a rush, it’s up to them. If they don’t mind, I can take you first. Otherwise, the wait is only a few minutes.

「こちらの皆様ももう長くお待ちいただいておりまして、それぞれにお急ぎかもしれませんので、他のお客様次第です。皆様がよろしいのであれば、最初にご用件を伺います。そうでなければ、お待ちいただきますのは2、3分程度だと思います」

 

このセリフの中で「他のお客様がよいということであれば、先にすることもできる」という提案をしています。 ここでは、These people have been waiting for long and might also be in a rush…のひと言を入れ、こちらがじっと待っている他のお客様の気持ちを理解していることを知らせています。そうすることで、他のお客様は自分たちの立場が「acknowledge」、つまり理解されていると知り、気持ちが和らぐはずです。

 

ここは大切なポイントです。It’s up to them.「お客様次第です」は、こちらが指示したり、コントロールしたりするのではなく、(他の)お客様に「選択肢」を渡していることになります。 そうすることで、「無視されている」という思いを他のお客様にも抱かせずにすみ、また先を急いでいるお客様の要望にも何とか応えることができるはずです。

 

「列がある、人々が待つ」ということは、時としてさまざまな問題を呈することになります。少しでも不満を感じるお客様がいそうであれば、そのあたりの雰囲気をキャッチし、上手に場を収めることも覚えておきましょう。こんな場面も、決して想定できないことではありません。

株式会社RADIANT 代表取締役

新潟大学人文学部英米文化課程卒業後、米国系航空会社(旧NW)日本支社に入社。旅客部門、機内サービス部門を経て、アジア地区における接遇教育専任担当として、接客力をもつ多くの社員を職場に送出。退社後、神田外語学院エアライン科講師を経て、株式会社早稲田総研インターナショナル(現:早稲田大学アカデミックソリューション)の英語コミュニケーションクラスの講師として大学の講座で教壇に立つ。
その後、株式会社RADIANT設立。ヒルトン東京ベイを皮切りに、マンダリンオリエンタルホテル東京、東京ステーションホテル等の大手ホテルにて、英語接遇研修を行う。その他、大手製薬会社、医療メーカー等の社内研修においても高い評価を得ている。

著者紹介

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村田 志乃

幻冬舎メディアコンサルティング

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