税金を納税する方法として、納付書を使って金融機関又は税務署の窓口で納付したり、インターネットバンキング等から納付したりすることに加え、「ダイレクト納付」という選択肢があることをご存じでしょうか。本記事では、その「ダイレクト納付」の概要について、税理士法人中央会計の辛島政勇氏が解説します。

預金口座から振替納税が可能な「ダイレクト納付」

① ダイレクト納付とは

 

電子申告等のあとの簡単な操作で、事前に届出をしている預金口座から、即時又は指定期日に振替納税ができる仕組みです。ダイレクト納付では、ほかの納付方法の「日中銀行へ行く時間がない!」「ネットバンキングを利用していない!」といったデメリットを解消することができます。

 

予納するにはまずダイレクト納付の申請を行う必要があります。また、申込み時には「国税ダイレクト方式電子納税届出書」を提出しなければなりません。

 

② ダイレクト納付を利用した予納とは

 

予納については、財務省の平成30年度税制改正によると、「国税の予納制度について、対象となる国税を概ね12月以内において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる国税に拡充し、併せて、ダイレクト納付により行うことができることとする。」とあります。

 

簡単にまとめると、予納とは「1年以内に税額が確定する税金に関しては納付の期限より前にあらかじめ納付することができる」という制度になります。

 

さらに、課税期間中に、あらかじめ納付日と納付金額等をダイレクト納付画面から登録しておくことで、登録した納付日に預貯金口座から振替により納付(予納)することができます。

 

自営業やフリーランスの方なら、確定申告時に発生する所得税及び復興特別所得税、法人であれば法人税及び地方法人税・消費税及び地方消費税、そして贈与税もダイレクト納付で予納可能な税目になります。

銀行に行かなくても計画的に納税できるメリットが

ダイレクト納付の予納では、納付日と金額を独自に決めることができます。また、これまでは納付期限にまで一括納付だったものが、分割支払いできるようになったため、一定額を定期的に支払うということも可能になりました。

 

予約期限が到達していない期間中、金額・納付日の変更や取消しはすぐに行うことができます。

 

つまり、収入に応じた任意のタイミングで納付することが可能となるため、資金繰りに考慮した納税ができます。納付日や金額は前もって予約をすることができるので、払い忘れ防止にもなります。

 

銀行に行かなくても、簡単な手続きで納税でき、手間を省いて計画的に納税できる、非常に便利な制度となっています。

具体的な手続きと注意点について

予納の予約手続きは各法人・個人事業者の方で行うことができます。

 

【手続きの流れ】

① e-Taxの利用開始手続

※なお、利用開始手続時に、電子納税に限定する手続である「特定納税専用手続」を選択された方はダイレクト納付をご利用できませんので、ご注意ください。

② 納税用確認番号等の登録

③ ダイレクト納付届出書の提出

④ 新しく予納の申し出を申請

⑤ 残高確認、納付確認

 

④、⑤の具体的な手続き方法については、こちらのページ(http://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/pdf/yonou.pdf)をご確認ください。また、ダイレクト納付口座の変更、取りやめについては、国税庁「ダイレクト納付の手続(事前準備)」4と5をご確認ください。

 

【注意点】

●土日祝、年末年始等、行政機関の営業期間外の日を予納日とすることはできません。

●予納日は最大で48日まで予約可能です。ただし、途中で金額や予納日を変更する場合は該当する予納日の前日までに変更する必要があります。

※登録日当日を予納日とする予約もできません。

●予納日として登録できるのは登録日の含まれる課税期間内の日のみです。翌課税期間の予納日は翌課税期間の開始後に予約する必要があります。

例)当課税期間が平成31年4月1日~令和2年3月31日の場合

→予納日の登録ができるのは平成31年4月2日~令和2年3月31日内の行政機関の営業日

※令和2年4月2日以降の予納日の登録は令和2年4月1日以降に可能になります。

●仮に予納額が確定納税額を超えた場合には、その超過額は確定申告時に還付されます。

 

◆まとめ◆

計画的に納税していくことによって、資金繰りの安定性、引き落としによる手間暇も省けるダイレクト納付の予納。皆さんもお試しになってはいかでしょうか? ダイレクト納付自体の設定がまだの方は、この機会にぜひご検討ください。

 

 

辛島 政勇

中央会計株式会社/税理士法人中央会計 税理士

 

本記事は、中央会計株式会社の運営するホームページ『経理通信』のコラムを抜粋、一部改変したものです。

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