北米ボーディングスクールの「スゴイ」テクノロジー教育とは? ジュニア・ボーディングスクールのイノベーションラボ(The Fessenden School)

キャンパス内に寮を有し、学業だけでなく、共同生活を通じて社会性の育成までをサポートするボーディングスクール。多様性を重要視する富裕層が、我が子を通わせたいと注目しています。本記事では、SAPIX YOZEMI GROUPの海外事業開発部長・髙宮信乃氏が、その実情について解説します。

「最先端のテクノロジー」を積極的に取り入れる

自然豊かなキャンパスで、教職員やクラスメートと寝食を共にしながら、幅広い教養を身につけ、スポーツや芸術に打ち込む北米のボーディングスクールでは、最先端のテクノロジーも積極的に取り入れています。

 

まず、ICTの活用法を見てみましょう。校舎や寮にはWi-Fi環境が整えられ、教師は電子黒板を使ったり、予習のために解説動画を配信したりしています。生徒たちがタブレット端末やノートパソコンを持ち込むのは日常の風景ですし、これらはリサーチペーパーを書く際の必須アイテムです。また、各校には豊富な蔵書が用意されていますが、必要な書籍がなければ、電子図書館を利用できます。

 

保護者と学校との日々のコミュニケーションもインターネットを介して行われ、出席や課題提出の状況、成績等に加えて、キャンパス内の売店で購入した商品まで一目で分かります。保護者専用サイトを通じて、試験終了後に教科担任とテキストメッセージやチャットで気軽に連絡を取り合うなど、物理的な距離を感じさせないフォロー体制をもつ学校も珍しくありません。

 

また、ライブストリーミングによるリアルタイムでの配信は、スポーツや演劇でのお子様の活躍を見逃したくないという保護者に好評です。北米ボーディングスクールにお子様を留学させた経験を持つご家族から、「日本にいたときよりも子どもの様子がよく分かって、むしろ身近に感じられた」というコメントを頂いたこともあります。

飛行機を製作してしまう高校生も!

サイエンスラボの充実も、ボーディングスクールの特徴です。実験室には、最新の双眼実体顕微鏡や、大学の研究室にあるような各種分析機器が揃っています。イノベーションラボでは、業務用の大型3Dプリンターやレーザーカッターが標準装備といっても過言ではないほど普及していますし、ドローン(遠隔操縦、または自律式の小型無人航空機)の講座は生徒たちに大人気です。

 

アメリカで提唱されている理系を重視したSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)、そこにArtsを取り入れたSTEAMが日本で注目されていますが、さらに進化したSTREAMをご存じでしょうか?

 

RはRobotics(ロボット工学)の略です。日本では、高等専門学校(高専)の学生によるロボットコンテストが有名ですが、北米のボーディングスクールの生徒もRobotics Competitionに積極的に参加しています。難関校ほどコンテストでの成績がよい傾向にあり、女子も活躍しています。

 

西海岸にあるThe Athenian Schoolでは、ロボコンでは飽き足らず、飛行機を作ってしまった生徒がいます。ドローンではありません、有人の航空機です。同校では3代目にあたり、初代は実際に販売されたそうです。自力で飛行機を製作する生徒がいることにも驚きますが、高校生の作った飛行機を購入する人がいるとは、アメリカはさすがにスケールが大きいですね。

 

生徒が製作中の3代目有人航空機(The Athenian School)
生徒が製作中の3代目有人航空機(The Athenian School)

 

テクノロジー教育は、ボーディングスクールにとどまらず、小学校高学年・中1生~中3生を対象とするジュニア・ボーディングスクールにおいても重要なプログラムです。ジュニア・ボーディングスクールは、ニューイングランド地方(Bostonを中心とする北東部)とNew Yorkに11校あり、名門10校“Ten Schools”をはじめとするトップスクールへの進学を目指す子ども達に、年齢に応じたきめ細やかな教育とサポートを提供し、十代前半から創造性や課題解決力を培っています。

 

例えば、男子校の伝統校・フェゼンデン・スクール(The Fessenden School)では2016年、220㎡の敷地にCiongoli Center for Innovation(通称CCI)をオープンしました。MIT(Massachusetts Institute of Technology)の卒業生と博士課程の学生が2010年に創設した教育機関・NuVuと提携し、“Multidisciplinary”(複数の専門分野から成る)プロジェクトを通じた実践的な学習を推進しています。また共学校の名門・フェイ・スクール(Fay School)は昨年度、音響機器メーカー・BOSE社と共同で、新たなヒット商品を生み出すべく、オーディオ・サングラスをデザインする機会を提供しました。

 

いずれの学校でも重きを置くのは、生徒が単に最先端の技術を活用してクールなアイテムを作ることではありません。両校の狙いは、次代を担う若者がイノベーションと専門性を掛け合わせて、実社会の問題を解決する力を身につけることにあります。生徒ごとのプロジェクトによって企画されたデザインは、仲間や教師からの批評と、失敗の許される安全な環境の下でさらなる進化を遂げます。テクノロジー教育を通じて、生徒は単なる知識だけでなく、洞察力、リサーチ力、創造力、批評的思考力などの多様な能力を獲得するのです。

 

 

SAPIX YOZEMI GROUP 海外事業開発部長

Triple Alpha 副会長

髙宮 信乃

 

SAPIX YOZEMI GROUP 経営管理室 海外事業開発部長
学校法人髙宮学園 代々木ゼミナール評議員 

幼少期をパキスタン、香港、インドネシア、米国、スーダン(現・スーダン共和国、通称北スーダン)、オーストラリアで過ごし、1999年米ニューヨーク大学卒業後、MBAを取得。
アーサーアンダーセン税務事務所、リーマンブラザーズ証券会社を経て、2011年からSAPIX YOZEMI GROUPの幼児教室事業に従事し、2014年に海外進学部門のY-SAPIX Global Campus(YGC)を立ち上げ、ゼネラルマネージャーを務めるほか、株式会社ベストティーチャー副社長、Triple Alpha, Inc.副会長などを兼務。7歳の双子の母。

著者紹介

連載SAPIX YOZEMI GROUPの海外事業開発部長が解説!世界の富裕層が我が子を通わせる「北米ボーディングスクール」の魅力

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