今回は、ハワイ・ワイキキの代表的なホテルレジデンスである「Trump International Hotel Waikiki Beach Walk」(トランプ・ワイキキ)の2013年から2015年までの売買データを紹介します。

円安、株価高騰等で高額価格帯の部屋が動いた2013年

今回は、第3回第4回でご紹介したTrump International Hotel Waikiki Beach Walk(以下Trump Waikiki)の売買動向について見ていきましょう。2013年から2015年の売買データをもとに売買件数、売買総額の変化をその年の背景も交えながら説明します。

 

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まずは、2013年の売買データを見ていきましょう。

 

[図表1]2013年度 Trump MLS実績

 

上記データは、不動産ライセンスの保有者が利用できる「MLS」という不動産情報サイトにて登録されている、2013年のTrump Waikikiの成約一覧になります。

 

簡単にデータの見方をご紹介しますと、右上の赤枠部分の「Sold Price」が実際に売買された金額で、その左側の赤枠の「$/SqFt」が1Sqft当たりの単価になります。また、欄の下部にある「Average」と書かれた部分の右側の並びにある赤枠部分が、この年に売買された部屋の平均単価です。「$1,611.94-」と記載されていますが、これは1Sqft(=約0.092平米)当たりの単価になります。

 

坪単価に直しますと1坪=約5万4000ドルになり、2013年の平均為替レートは1ドル=98円でしたので、日本円でおおよそ坪単価530万円が平均売買単価ということになります。

 

今から3年前となる2013年のTrump Waikikiは、売買件数32件、総額約5700万ドルの取引があり、200万ドル以上の高価格帯の部屋が14件も成約に至っています。Trump Waikikiの購入者層は60%以上が日本人の方なので、2012年の年末に安部内閣への政権交代により、円安、株価急騰と日本経済が好転した年となったことも影響し、高額帯の部屋が活発に売買されたと考えられます。

2016年に入ってTrumpに「戻る」投資家も増加!?

では、次に2014年の実績です。

 

[図表2]2014年度 Trump MLS実績

 

2014年度は、取引件数28件と前年と比べ4件減少し、売買総額も約3700万ドルと、前年と比較して約2000万ドルもボリュームが減っています。

 

要因としては2点考えられます。まず、2013年からはThe Ritz-Carlton Residences Waikiki Beach West Tower(Tower1)、2014年からはEast Tower(Tower2)の販売が始まり、Trump Waikikiの販売数に影響が出てきたという点。

 

もう1点は、急速な円安の影響です。2Bedroom以上の部屋がわずか5件しか売買されず、その内200万ドル以上の部屋が4件となっています。前年と比べて高価格帯の部屋の動きが鈍かった点が、取引ボリュームが大幅に低下した原因だといえるでしょう。

 

また、この年から少しずつ高価格帯の部屋の動きが鈍くなり、投資用として100万ドル以下の部屋を購入する方が多くなってきました。

 

なお、平均単価はドルベースですと、1Sqft当たり1514.94ドルと、前年と比較して100ドルの差になります。2014年の平均為替レートは1ドル=119.23円でしたので、日本円での坪単価は約650万円になり、前年と比較すると円ベースでは坪単価が大幅に上昇していることになります。

 

では最後に、2015年度の実績を見てみましょう。

 

[図表3]2015年度 Trump MLS実績

 

2015年は更に取引件数が減少し、年間23件の取引となりました。2013年の32件と比較すると約30%も取引数が減少したということになります。また、取引ボリューム自体も約3000万ドルと、2013年と比較するとドルベースで50%近く減少しています。

 

平均Sqft単価は1544.45ドルと、2014年とほぼ同水準ですが、平均為替レート1ドル=121.90円で計算すると、坪単価は約680万円になります。

 

ドルベースのSqft単価は、2013年と比較してもほぼ同水準にありながら、為替の影響やThe Ritz-Carlton Residences Waikiki Beach、アラモアナ、カカアコ地区の他の新築コンドミニアムの販売が多くありました。

 

Trump Waikiki以外の物件に投資先が向いたことも、売買件数、売買総額が減少した要因と考えらえます。

 

また、Trump Waikikiのオーナー側の立場からしても、2015年2月にオアフ島で唯一、フォーブス・トラベルガイドより5スターに選定されたことで、稼働率、宿泊費が上昇し、ホテルにレンタルに出している方が、以前より多くの収益を手にできたことも影響しています。

 

そのため、販売に出される価格も多少強気になり、売買件数が減少していると考えられます。

 

ただし、2016年に入り、Waikiki周辺の開発案件もマーケットに全て出揃った中で、改めてその他のプロジェクトと比較して、Trumpに戻ってきている投資家が増えてきています。

 

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いわゆる、新築のプロジェクトが軒並み1 Sqft当たり2000ドルを超える価格設定をしているものが大半ですので、改めて5スターを獲得した実績のあるTrumpに注目が集まってきていると言えます。

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