国内産業の競争力を高める輸出奨励
貿易振興機関による、輸出企業への教育や助言サービスを広げることは、国内マーケット志向の企業を国際マーケットに目を向けさせることになる。国内企業が輸出するようになれば、その企業の競争力は高まり、より革新的かつ高効率な体質にもつながる。それは、国内マーケットに比べて、国際マーケットでの競争がより激しいためだ。
政府保証の貿易融資スキームは、輸出についての助言および相談サービスとセットで、中小企業の輸出業者を奨励するために導入している国が多い。その代表例は、米国の中小企業庁(SBA)だ。SBAの貿易支援政策は、輸出を行う中小企業に対して教育、助言などのソフト面での支援と併せた形で金融的支援を提供するものだった。一方で、スリランカには輸出セクターを支援する専門的な融資制度やプログラムがなく、スリランカの輸出戦略における課題になっている。
コロンボを拠点とするシンクタンクのVerité Researchは、情報の不足、未熟な実施機関、金融スキームの不足の3つの問題によって、スリランカでは輸出金融が輸出を促進する効果をなかなか発揮できていないと指摘する。以下ではその3つの問題についてみていきたい。
問題となる「二つの次元」での情報不足
スリランカの輸出金融における情報不足の問題は、二つの問題に分けて考えることができる。一つ目は、バイヤー、マーケット、そして輸出業者についての情報が制限されている点だ。マーケットやバイヤーについての信頼できる、正確かつ最新の情報は、輸出業者や融資機関がリスクを評価し、マネジメントするために重要なものだ。
二つ目は、輸出業者の間で輸出金融を活用したソリューションやメリットについての情報が欠如している点だ。輸出業者(特に中小企業)の間で、現在、活用できるいくつかの輸出金融に即したソリューションがあること、あるいは、それを利用する上でのコストやメリットに対する認知度が低いことが、輸出金融ファシリティの需要が低いままである原因のひとつになっている。
次回は、輸出融資制度におけるその他の課題をご紹介します。