間違えない株式投資の始め方・7カ条~最もコンパクトな株式運用入門

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2012年5月11日に公開、2019年10月22日に加筆の上再掲載されたものです。

「実用最小限」の株式運用ガイド

今回は、株式でお金を運用してみたいと思う方に対する、「最もコンパクトな株式運用入門」をお届けしたい。運用について語る分野はいろいろあるが、正直に言って、筆者は、株式投資が大好きだ。株式投資について語ろうとすると、どうしても力が入る。そこをぐっとおさえて、これだけで始められるという「実用最小限」の解説を目指す。

 

株式投資は、それだけで何冊も本が書ける世界だ。リスクを取ってより大きなリターンの獲得を目指す際の、中核的な投資対象資産でもある。

 

必要最小限の知識として何を伝えるべきか迷うところだが、今回は、自分でやる株式投資の入門者に向けた株式投資の「始め方」と学習ガイドの二つのガイドをお届けする。

成果だけ取るならインデックスファンド

なくなってもいい金額で楽しみのために株を買ってみる、といったケースを除くと、お金の運用手段として株式を持つ場合、分散投資を前提に考える必要がある。株式投資は、分散投資を前提に行うものだと腹に納めてほしい。

 

個別の銘柄を自分で選んで投資しようというのではない個人の場合、インデックスファンドで内外の株式を組み合わせて持つのがいい。方法の詳細については、筆者が書いた他の記事や書籍などのなるべく新しいものを参照していただきたい。近年、手数料が下がるなどの変化がある。

自分でやる場合の始め方

さて、国内株が対象になるが、自分で株式投資をしてみたいと思う人は、次のように始めてほしい。

初心者の株式投資の始め方・7カ条

1:東証1部の銘柄で「業種の異なる3銘柄以上」に分散投資する

2:なるべく均等のウエイトで投資する(1銘柄の比率を極端に上げない)

3:追加資金は「持っていない銘柄」に投資する

4:銘柄は「買った理由」が消滅したときに売る

5:売買はネット証券を使う

6:PER(株価収益率)を同一業種内で横比較して理由を考える

7:「利益予想の変化」と株価の反応をできるだけ多く観察する

 

1:東証1部の銘柄で「業種の異なる3銘柄以上」に分散投資する

 

株式投資の最初から「ポートフォリオ」で投資する感覚を覚えてほしい。業種が異なる銘柄に、1銘柄の比率が極端に上がらないようにして、ポートフォリオを作る。追加で投資する際には銘柄数を増やす。

 

2:なるべく均等のウエイトで投資する(1銘柄の比率を極端に上げない)

3:追加資金は「持っていない銘柄」に投資する

 

初心者がよくやる間違いは、株価が上昇した気に入った銘柄にまた追加投資することや、逆に、株価が下がった銘柄をまた買って自分の買値の平均を下げようとすることだ。後者は、相場用語で「ナンピン買い」と呼ばれる行動だが、1銘柄へのリスクの集中を生むので好ましくない。

 

4:銘柄は「買った理由」が消滅したときに売る

 

一般に、どんな銘柄を買ったらいいかを説く解説は多いが、株式投資を実際に始めてみて困ることが多いのは、「いつ売るか」だ。「長期投資だからいつまでも持て」というのも、「買値から、○割上がったら売る、△割下がったら損切りすると決めておけ」というのも、共に間違いであり、役に立たない。

 

お金が必要で換金する場合を除くと、最も一般的な原則は、「買った理由が消滅した時に売れ」だろう。例えば、「利益に対して株価が割安」が理由で買ったなら、株価が上がるか、利益が減るかして、「割安」が消滅した時には売ることを検討すると考えておけばいい。ただし、魅力が消えた銘柄も分散投資の役に立っているので、急いで売るには及ばないことがあることを覚えておこう。

 

5:売買はネット証券を使う

 

株式投資は、魔術や修行の類ではないので、論理的に考えるべきだ。ついでに言っておくと、チャート分析に凝るのは止めておこう。一見それらしく見えるが、役に立たない。時間の無駄だ。

 

売買コストも含めて、コストはマイナスのリターンだから、手数料は節約しよう。売買にはネット証券を使うのがいいし、不要な売買をしないことを心掛けるべきだ。

 

6:PER(株価収益率)を同一業種内で横比較して理由を考える

 

個別銘柄の株価の評価尺度で最も汎用性が高いのは、PER(株価収益率)だ。株価を1株当たりの利益(原則として今期の予想利益を使う)で割った倍率である。尺度として不正確になる場合もあるが、そうした場合の理由も含めて、主に同業種の他の銘柄と比べながら、分析したい銘柄のPERが妥当かどうか、あれこれ調べてみるといい。分析の手掛かりになる。

 

7:「利益予想の変化」と株価の反応をできるだけ多く観察する

 

また、株価は、将来の利益を現在価値で評価したものだと考えたらいいが、投資家が持つ「将来の利益」の予想に最も影響を与える情報は、会社ないし、証券アナリストが予想する利益(今期または来期の利益)の変化だ。この場合、利益の実績値に対して予想利益を見るのではなく、例えば今期決算(典型的には次の3月期)の「これまでの予想利益」と「新しく発表された予想利益」の差が、情報としてインパクトのある部分だ。この予想利益の差に対して、株価がどう反応するかを出来るだけたくさん見ておこう。

 

株価はあくまでも「予想」に対して形成される。過去を分析するには、実績値に置き換わった情報ではなく、「古い予想」が必要だ。「東洋経済会社四季報」のような予想利益の数字が載っている資料は、ある程度(最低2年分は)手元に置いておく方がいい。CD-ROM版だと、4期分のデータが入っているので便利だ。

 

株式投資にあっても、具体例をたくさん見ておかなければ、物事の理解自体が進まない。手始めに、「PER」と「予想利益の変化」を手掛かりとして、自分が考えるための素材になる経験・データを増やすといい。

 

言っても無駄だとは思うが、やってみて儲かったからあなたが「上手い」というわけでもないし、損したから「下手だ」というわけでもない。結果について解釈する際には、それが「単なる運」によるものである可能性を常に念頭に置いて、冷静に判断材料を増やすのがいい。

 

後は、読者の幸運を祈る。

 

株式投資の世界へ、ようこそ!

 

【加筆】

2012年5月11日公開の原稿から、インデックス投資に関連する部分を削除して、株式投資入門の部分だけをおおむね原文のまま残した。インデックスファンドについては、手数料補の引き下げと新商品の登場とで当時と大きく事情が異なる。また、株式投資入門については、分散投資が大事で、PERと利益予想の改定が手掛かりになるという3点は、現在でもその通りなのだが、いずれ別の文章を書きたいと思っている。(山崎元)

 

 

山崎 元

楽天証券経済研究所

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2012年5月11日に公開、2019年10月22日に加筆の上再掲載されたものです。

 

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著者紹介

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