中国経済の来年を占う…成長率6%は達成できるのか?

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

中国の7-9月期成長率は6.0%と市場予想を下回りました。もっとも、小売売上高など9月の経済指標に回復が見られること、19年はここまで6%を超える成長率を維持していることなどから、10-12月期に極端な減速でもない限り、中国の19年成長率は当局が目標とする6.0~6.5%を達成すると見ています。ただし、来年の成長率は6%を下回る可能性も視野に入れています。

中国経済指標:7-9月期GDP成長率は6%と市場予想を下回り、減速傾向が継続

中国国家統計局は2019年10月18日に19年7-9月期のGDP(国内総生産)を公表し、実質GDP成長率は前年同期比6.0%と、市場予想(6.1%)、4-6月期(6.2%)を下回りました。

 

また、同日に中国の主要経済指標も公表され、9月の工業生産は前年同月比5.8%と、市場予想(同4.9%)、前月(4.4%)を上回りました。9月の小売売上高は前年同月比7.8%と、市場予想(7.8%)と一致し、前月(7.5%)を上回りました(図表1参照)。また、1-9月の固定資産投資は前年同期比5.4%と、市場予想(5.5%)、前月(5.5%)を下回りました(図表2参照)。

 

月次、期間:2015年9月~2019年9月、前年比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国小売売上高と自動車販売台数の推移 月次、期間:2015年9月~2019年9月、前年比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

月次、期間:2015年9月~2019年9月、年初来累積の前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国固定資産投資と主な構成項目の推移 月次、期間:2015年9月~2019年9月、年初来累積の前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:中国GDP、自動車販売、インフラ投資、債務

中国の7-9月期成長率は6.0%と市場予想を下回りました。もっとも、小売売上高など9月の経済指標に回復が見られること、19年はここまで6%を超える成長率を維持していることなどから、10-12月期に極端な減速でもない限り、中国の19年成長率は当局が目標とする6.0~6.5%を達成すると見ています。ただし、来年の成長率は6%を下回る可能性も視野に入れています。

 

 

まず、順調であった9月の小売売上高や工業利益を振り返ります。仮にこれらの指標の9月の回復が来年まで持続するならば、成長率のけん引役として期待されます。ただ、内容を見ると、下支えは期待できるものの、けん引役には力不足と思われます。

 

例えば、小売売上高の改善要因のひとつに自動車販売があげられます。ナンバープレートの発給制限の緩和などがプラス寄与したと見られます。しかし、当局の環境規制の方針が不透明なことによる消費者の様子見姿勢は続いていると見られるなど、本格的な回復には力不足と見ています。

 

工業利益の市場予想を上回る回復には、建国70周年イベントに向けた需要の回復など一時的要因が寄与したと見られます。固定資産投資を項目別に見ると製造業は伸び悩んでいます(図表2参照)。

 

固定資産投資は、当局が抑えたい(規制で引き締めている)不動産が高水準で推移する一方、製造業は低水準で、当局が回復を期待するインフラ投資も伸び悩んでいます。なお、インフラ投資は地方政府が資金調達を特別債で進めており、ある程度の回復は想定されます。

 

9月の指標を振り返ると短期的底上げは期待されますが、持続性に疑問があります。中国経済のマイナス要因として米中貿易摩擦の影響が懸念されるからです。先日公表された国際通貨基金(IMF)の世界経済予想を見ても、中国は19年後半から、来年前半にかけ関税引き上げ(第4弾)の悪影響が想定されています。加えて、中国は過去から積み上がった債務の削減の方針を維持すると見られ、必要な政策ながら、成長にはマイナス要因と見られます。

 

政策対応で景気減速はある程度抑制されるでしょうが、それでも来年の6%成長の確保は簡単ではないようです。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国経済の来年を占う…成長率6%は達成できるのか?』を参照)。

 

 

(2019年10月23日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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