中国インフレ率「じり高」…アフリカ豚コレラまん延が背景

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

中国のインフレ率を消費者物価指数(CPI)の前年同月比で見ると、食品価格の上昇を背景にじり高となっています。中国料理に欠かせない豚肉が、アフリカ豚コレラのまん延により高騰したのが背景です。アフリカ豚コレラの感染拡大という特殊事情によるインフレ率上昇のため、影響は限られるとは思われますが、気になる点の確認は必要と見ています。

中国物価統計:豚肉など食料品価格の上昇を受け、CPIは前年同月比3%

中国国家統計局が2019年10月15日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.0%と、市場予想(同+2.9%)、8月(同+2.8%)を上回りました(図表1参照)。CPI上昇の内訳では、前月に続いて豚肉を中心に食品価格が全体を押し上げています。

 

一方、9月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比マイナス1.2%と、市場予想(マイナス1.2%)に一致し、8月(同マイナス0.8%)を下回りました。PPIは原油価格の低下とベース効果によって押し下げられたと見られます(図表2参照)。

 

月次、期間:2014年9月~2019年9月、前年同月比  出所:IMFのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国のCPI、食料品価格と小売売上高の推移 月次、期間:2014年9月~2019年9月、前年同月比
出所:IMFのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

月次、期間:2014年9月~2019年9月、前年同月比  出所:IMFのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の卸売物価指数(PPI)の推移 月次、期間:2014年9月~2019年9月、前年同月比
出所:IMFのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:中国インフレ率、豚肉価格、小売売上高

中国のインフレ率をCPIの前年同月比で見ると、食品価格の上昇を背景にじり高となっています。中国料理に欠かせない豚肉が、アフリカ豚コレラのまん延により高騰したのが背景です。アフリカ豚コレラの感染拡大という特殊事情によるインフレ率上昇のため、影響は限られるとは思われますが、気になる点を振り返ります。

 

 

まず、インフレ率(CPI)における豚肉価格上昇の影響を見てゆきます。中国当局が公表する豚肉価格は9月が前年同月比で69.3%の上昇となっています。7月の同約27%、8月の同約47%から豚肉価格の上昇が加速している印象です。ちなみに、豚肉などを含む食料品価格指数は9月に前年同月比で11.2%の上昇となっています。

 

一方、食品、エネルギーを除いたコアCPIは9月、8月が共に前年同月比1.5%と安定しており、食料品(豚肉)の物価に対する影響がうかがえます。

 

次に、今後の豚肉価格の動向を考えると、アフリカ豚コレラに関連する問題、例えば豚肉供給体制の回復に早急な解決策が見当たらず、ある程度時間はかかると思われます。また、中国では20年の春節に伴う長期休暇が1月25日頃から始まる見込みであり、豚肉需要が今後増えることも考えられます。豚肉価格が低下する要因は、今のところ少ないように思われます。

 

なお、中国人民銀行(中央銀行)のインフレ目標は3%ですが、人民銀行はコアCPIが安定していること、景気動向などを考慮して、現在の(的を絞った)緩和的な金融政策を維持すると見ています。

 

ただ、人民銀がインフレ率を懸念して、将来的に金融緩和政策を調整(変更で無く)する可能性が無いわけではありません。考えられるケースは、インフレ率上昇の長期化で消費の手控えが鮮明となれば、何らかの対応策を打ち出すことです。一般論ながら、インフレ率上昇は小売売上高の減少を伴う傾向があります。中国のCPIは17年年初(1%前後)から足元の3%にじりじり上昇しています。もっとも、この期間の小売売上高の減少は米中貿易戦争や軽減税率停止などによる自動車販売減少など他の要因の影響がほとんどと見られます。しかし、仮にインフレ率上昇が長期化した場合、金融政策に調整の余地があるかもしれません。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国インフレ率「じり高」…アフリカ豚コレラまん延が背景』を参照)。

 

 

(2019年10月17日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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